2009-12-02

(A)だめじゃないの。こんな点数をとっていたらろくな高校に行けないよ。

(B)2年生の3学期の成績は、内申に影響するのではないか心配よ。

(C)成績が下がって、がっかりしているのね。

では解説を読んでいきましょう。

 

(A) は、「この成績では良い高校に行けない」と子どもを非難し、脅しています。子ども自身の気持ちを全く配慮していません。このような親の態度は子どもの反発を招き、会話が続かなくなる原因になります。


(B) は、親が何を心配しているかを口に出して伝えている表現です。親の本音・感情が伝わります。子どもは自分のテストの点数を見て、親が何を心配しているのか知ることができます。


(C) は、子どもの態度から発せられた気持ち・メッセージをしっかり汲みとっています。同情や説教ではなく、今、子どもがどう感じているかに共感し、気持ちに寄りそった言葉かけをしています。


子どもは必ずしも、自分の気持ちをすぐに言葉にできるものではありません。日ごろから様子を確認し、いつもと違う点がないかよく見つめましょう。子どもから発せられる無言のメッセージ、態度や仕草に現れる変化(サイン)を読み取ることで、親がかける言葉も変わります。


それでは、(C)のパターンによる、その後の会話を見てみましょう。


Y介:(何も言わずに、気まずそうにテストを差し出す。)

母:「成績が下がって、がっかりしているのね。」

Y介:「うん…。こんな点数をとったことはないから、驚いたよ。」

母:「今までにない点数だったから驚いたのね。」

Y介:「今回は、いつもより勉強する時間が取れなかったんだ。」

母:「いつもより時間が取れなかったのね。」

Y介:「うん。やっぱり、ちゃんと勉強する時間も作らないとね。」

母:「そうか、勉強する時間も作らないといけないと思っているんだ。」


いかがでしょうか?子どもが自分の気持ちを素直に語り、解決策を考え始めた様子が伺えます。親は、悪い点数を見ると心配のあまりに、ついあわてて「勉強しなさい!」と行動を指示したり、叱ってしまいます。ですが、子ども自身は、悪い点数をとることで親以上にがっかりし、傷ついているものです。親は自分の考えや解決方法を言うのではなく、まず聞く側に回り、子どもの気持ちを汲んで、子どもが話し易いよう働きかけることが対話を始める第一歩です。



話す ~親業のコミュニケーションメソッド~

子どもの行動に対して、親が口を出したくなることはよくあります。そんな時、子どもの行動が自分にとってイイ(嬉しい、続けてほしい)のかイヤ(心配、変えてほしい)なのかを、その都度確認すると効果的です。その時の一時的な感情で、怒りや心配を子どもにぶつけてしまわないよう注意してください。また、口に出す時には「わたしは心配だ(嬉しい)」のように、自分の感情を伝えるように話すと、親の思いが伝わりやすくなります。

子どもと話しをする時に重要な3つのポイントをまとめました。

(1) 「わたし」を主語にして、気持ちを伝える。

「●●ちゃんは、エライ・すごい」は、一見ほめているようですが、言われる側は、見下されているように感じる場合があります。それよりも、「お母さんは、うれしい・感心している」というように自分を主語にして伝えた方が、より効果的に親の気持ちが伝わります。これが親業のわたしメッセージ です。

(2)子どもを認めている気持ちを伝える

普段忘れがちですが子どもに肯定の気持ちを伝えることは、とても意味のあることです。「できて当たり前」のことは何ひとつありません。子どもを認める気持ちを素直に伝えましょう。

(例)「私はあなたのこんなところが好き。」、「私は、あなたの成長が嬉しいわ。」「あなたが一生懸命やっている姿をみると元気が出るの。」「わたしは○○に感謝している。ありがとう。」など。

(3)子どもの行動によって親がどう影響を受け、何を感じるのかを伝えましょう。

「子どもの行動」・「自分に対する影響」・「その行動により湧く感情」、の3つをセットで伝えると、親が今どう感じているかが伝わりやすくなります。子どもが自分の行動を省みるきっかけになります。

(例)子どもを呼んだのに、返事をしないで困っている時…
×「返事をしなさい!」、「呼んでいるのに、なぜ返事をできないの。」
◎「お母さんが呼んだ時に、●●ちゃんが返事をしないと 何度も呼ばないとならなくて疲れてしまうし、イライラするわ。」

以上、「話す」ためのレッスンでした。

普段の話し方すべてを変える必要はありません。ポイントだけ気にかけて、焦らないで取り組んでいきましょう。最初のうちは、子どもの側も親の変化に戸惑いを覚えるかもしれませんが、少しずつ繰り返し、会話の機会を増やしていけば、自然とスムーズに対話ができるようになっていきます。

次回は、家庭生活において、子どもが受験勉強のストレスでイライラして、家族にあたってしまうケースをもとに、親子間の「対立を解く」ための方法をお伝えしていきます。

内山睦美(うちやまむつみ)

Profile

内山睦美(うちやまむつみ)

親業訓練インストラクター

都内を中心に親業訓練講座、講演を行っている。また、読み聞かせを通じ地域の子育て支援活動に参加。幼児教育にも関わる今、親業で自分も周りも満足できるコミュニケーションの輪を広げるのが目標。中学、高校生の母。

 

 



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