2015-04-10

特別インタビュー
都立中高一貫教育校の校長先生からのメッセージ




校長 大井俊博先生特別インタビュー

「“教科を嫌いにさせない”を合言葉に、生徒が主体的に学び、そして、学び合える授業で6年間、切磋琢磨していきます」

東京都立両国高等学校附属中学校
東京都立両国高等学校を母体校として2006年開校。両国高校の前身は、1901年創立の東京府立第三中学校。1950年、東京都立両国高等学校に改称。2014年3月に第3期生が卒業。東大、京都大、東京工業大、一橋大など難関国立大に合格者を出している。


この記事は「2016年度入試用中学受験案内」(旺文社)より転載しました。


教科を嫌いにさせない「アクティブ・ラーニング」を実践

――創立114 年目を迎える伝統校ですが、中高一貫教育校となった現在、どのような教育目標を掲げているのでしょうか?

大井 明治34 年(1901年)に東京府立第三中学校として創立以来、両国高校の頃から「自律自修」が教育目標です。自らを厳しく律し、自ら進んで学ぶ、この姿勢を6年間かけて学んでいきます。基本となるのは、やはり学習習慣です。中学入学の段階から、学習習慣を身につけさせるため、朝学習や宿題などはもちろん行っていますが、本校では特に、「教科を嫌いにさせない」ことを大切にしています。

――具体的にはどのような取り組みですか?

大井 4つの特色ある教育活動があります。「国語力の育成」「英語によるコミュニケーション能力の育成」「理科・数学教育の充実」そして「志(こころざし)学の推進」です。最初の2つは、言語能力の育成を主眼におき、そのひとつの手法として、本校では「アクティブ・ラーニング」を積極的に行っています。これは生徒によるペアワーク、グループワークなどを導入し、日常的にコミュニケーションやプレゼンテーション能力を養っていくものです。いわゆる受け身の授業ではなく、生徒が主体的に学び、そして、学び合い、教え合う授業を構築しているので、それが教科を好きになることにつながると思っています。この方法は、国語、英語、社会、理科をはじめ、その他の教科でも行っています。

「理科・数学教育の充実」については、本校では教科書に掲載されているような観察や実験はすべて行っており、生徒が自ら仮説を立て、実験や実習を通して実証し、理解することで、本物を見つめる力を養わせます。また、数学では、数学的な見方や考え方を重視したハイレベルな授業を展開しています。

最後の「志(こころざし)学の推進」にある「志学」とは、いわゆるキャリア教育です。弁護士や作家、経営者や大学教授など、さまざまな職業で活躍している卒業生から体験を聞くことで、将来目指す方向を中学生の頃から考え、定めていけるようにしています。114 年の伝統があるので著名な卒業生が非常に多く、講師には事欠きません。


2014 年度から中3生のアメリカ語学研修がスタート

――生徒が主体的に授業に取り組める工夫が随 所にちりばめられているのですね。

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大井 そうですね。例えば英語の授業は中1からオールイングリッシュですが、英語で聞き話すことによって、話をまとめてしっかり発表できる能力が早くから養成できます。また、ネイティブの先生との会話も日常的に英語で行っています。2014 年度からは、中3生を対象に、修学旅行に代えて9泊10日のアメリカ語学研修を行うことになり、ほぼ全員が参加しました。アメリカ・ユタ州にあるブリガム・ヤング大学で英語などさまざまな講義を学び、ホームステイ先ではホストファミリー1家族に生徒1人がステイします。ホストファミリーと一日中行動を共にしていると、コミュニケーション力が自然と身につきます。語学研修から帰ってきた生徒を見たら、非常にたくましくなったなと思いましたね。海外の大学への進学を目指したいなど、いろいろなことにチャレンジする気持ちが出てきたようで、確実な成長を感じました。

――ところで、中等教育学校と違い、御校は高校からも一般入試と推薦入試で入学してくる生徒がいる併設型ですが、中学からの生徒と高校からの生徒をうまくなじませる工夫は何かされているのでしょうか?

大井 本校では、中学からの入学生と、高校からの入学生のクラスを分けたりはせず、初めからミックスさせています。中等教育学校は6年一貫ですから中学の卒業式がありませんが、本校では卒業式をして、いったんけじめをつけさせます。そして高校からの生徒と一緒に高校の入学式を行うので、中学からの生徒もここで気持ちが切り替わるようです。高校からの生徒は、最初はやはり緊張していますが、日々の学課、部活動や行事を経るごとに中学からの生徒となじんで親密になっていきます。

「アクティブ・ラーニング」のような授業も、高校から入学した生徒にはとまどいもあるでしょうが、実は中学からの生徒は英文法も実践的なコミュニケーションを通して学んでいます。一方で高校から入学した生徒は、英会話は普通でも、受検勉強を通して培った英文法の知識があります。そこで、お互いの強みを生かして教え合いながら、切磋琢磨して学習していくことができています。

――団結力が次第に強くなるわけですね?

大井 はい。ですから行事もとても盛り上がります。6月の「体育祭」、9月の「両国祭(文化祭)」、2月の「合唱コンクール」が3大行事ですが、すべて中高合同で行います。6年間を通して、ひとつの学年、ひとつの集団として成長していけるのが、本校の良さだと思います。


根強い国公立大志向。講習は一人ひとりにきめ細かく行う進路指導

――中高一貫教育校となって以来、すでに3期生が卒業しています。大学受験を目指した進学指導ではどんなことを行っていますか?

大井 本校では1時間1時間の授業に真剣に取り組むのが基本です。そのうえで、日々の講習・補習や夏・冬・春休み中の講習、朝講習などを行っています。放課後には自習室や教室、さらには廊下の自習スペースでも勉強している生徒を数多く見かけます。高3生でも予備校に通っている生徒は、実に2割以下です。

下町にある立地柄、昔から国公立大志向が強く、その伝統は今も引き継がれています。2期生の現役での国公立大合格者の割合は35.2%と都立校のなかでナンバーワンでした。また、生徒の希望する大学に合った、一人ひとりにきめ細かい進路指導を行っているため、3期生の現役での進路決定率は82.7%と高いものとなりました。

――今年(2015 年)の入試では応募倍率が都立中高一貫教育校ではトップとなりましたね。多くの希望する受験生と、保護者に向けて、メッセージをお願いします。

大井 2015 年度入試の適性検査では、言語力、表現力が問われる「適性検査Ⅰ」と、算数・理科の力を見る「適性検査Ⅲ」で独自問題を、「適性検査Ⅱ」では共通問題を採用しました。これにより、求める生徒像をより明確に出せたのではないかと思います。

本校には3つの宝があります。ひとつめは、素直で何事にも一生懸命に取り組む生徒たち。ふたつめは、頑張る生徒たちを深い愛情と熱い情熱で指導する教師たち。そして3つめが、この生徒と教師の信頼関係です。この信頼関係を中学の頃から築けているのが本校のいちばんの強みだと思っています。この3つの宝が揃った本校に入学してよかったと思えるような教育活動を実践していきますので、是非チャレンジしてほしいと思います。

この記事は「2016年度入試用中学受験案内」(旺文社)より転載しました。




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