2010-08-05

パスナビ スペシャルインタビュー
玉川大学教職大学院教授 堀田龍也先生


玉川大学教職大学院教授 堀田龍也先生

~情報社会を生きる子どもたち~
「強い心」で育てる・育つための3つの問い・2つの願い


■ インタビュー特別編 学校現場の先生方へ 「ICTが教育にもたらす可能性」掲載

私は大学院の教育学研究科で教授を務めています。普段は先生方や教職を目指す学生に語りかける機会を多く持っていますが、今回こうした場を得て、小中学生のお子さんを持つ保護者の皆さんに、学校教育の今とこれからについてお話しさせていただこうと思います。

学校や教育について「常識」のように語られていることはたくさんありますが、そこには事実と誤解とが入り交じっています。これから3つの問いについてお考えいただき、さらに2つのお願いに耳を貸していただければと思います。それでは始めましょう。

取材・撮影:西尾琢郎(リンカーベル)


3つの問い・その1 「子どもの理科嫌い」は本当でしょうか?


日本の子どもは「理科嫌い」であると言われています。ノーベル賞受賞者や宇宙開発に携わる人たちからはこうした状況を憂慮するメッセージが発せられる一方、塾などが主催する「理科実験体験教室」などは高い人気を集めています。

確かに、以前の国際的な学力調査などによって「理科嫌い・実験嫌い」といった傾向が示されたことは事実です。しかし、学校は手をこまねいていたわけでなく、さまざまな対策を講じてきました。

理科の時間に限らず、総合的な学習の時間などを活用しながら、実験や実践的な学びの機会を増やしてきた結果、「理科嫌い」についても、実は着実に改善されてきているのです。塾が催す理科実験教室の人気も、もしかするとすでに子どもたちが理科に関心を持っているから……かもしれません。

その反面、かつては「学力は高いが理科(実践的教科)嫌い」とされてきた子どもたちが、「理科は好きになったけれど学力が落ちてしまった」のもまた実情です。

決められた授業時間の中でできることには、当然限りがあります。とは言え講じた対策は効果を上げていますし、学校はそうした強い影響力を持っているということでもあります。「理科嫌い」の話は、そのことをよく表していると思います。


3つの問い・その2 「公立学校はどこでも同じ」でしょうか?


長い間、日本の公教育は平等で、質の高いものだと考えられてきました。近年、学力の低下が叫ばれるようになり、その質の部分には疑いの目が向けられるようになりましたが、依然として「平等」を疑う声を耳にすることは多くありません。むしろ「画一的」とさえ言われるのは、今も変わらないようです。

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しかし、現状はまったく異なります。地方の時代と言われる今、義務教育費の国庫負担金は減額され、教育予算はその分(実際には地方交付税によって裏付けられているのですが)自治体の裁量による地方財源に大きく委ねられるようになりました。

その結果、たとえば文部科学省が「教員1人に1台のパソコンを」という目標を掲げ予算を付けても、自治体の裁量によっては、それが教育以外の目的に使われてしまうといったことが生じています。

こうした動きと同時期に、学校にはICT機器をはじめとする時代の変化に対応した設備や人員が求められるようになりました。しかし、その対応が自治体ごとに大きな違いを生じたことで、子どもたちが受ける教育にもまた「均質」どころか地域ごとに大きな差が生まれていることを知っていただきたいと思います。

新しい学習指導要領を背景に、基礎基本の充実が大切にされるようになった今、ICTを活用したフラッシュ型教材などで学力向上に成果を上げる学校も増えてきました。しかしここでも、各自治体のビジョンによって取り組みに違いが生じています。


3つの問い・その3 「携帯電話は悪」でしょうか?


皆さんのご家庭では、お子さんに携帯電話を持たせていますか? またその理由は?

内閣府による2009年の調査では、中学生の携帯電話所有率(自分専用と家族共用の合計)は46.8%とされていて、およそ2人に1人が携帯電話を持っていることになります。実際には地域差も大きいため、おそらく都市部ではこの数字よりもはるかに多くの中学生が携帯電話を持っていることでしょう。一方、自治体によっては、子どもに携帯電話を持たせないよう指導しているケースもあり、その対応はさまざまです。

携帯電話は経済的な面を取っても家計に少なからず影響するものですし、また、携帯電話を介した多くの事件事故の報道に触れれば、かかるお金や子どもに与える影響をよくよく考えるべきことは明らかで、軽々に買い与えるような性格のものではないはずです。

ところが実際には「友だちがみんな持っているから」とか「(親から)子どもに連絡が取りやすいから」といった理由で携帯電話を与え、しかもそれがどう使われているかには無頓着な家庭が少なくありません。

一方、学校では、校内への持ち込みを禁じた上で「下校後の携帯電話に絡む出来事にはノータッチ」を決め込む場合もあって、ますます、子どもたちと携帯電話の関係は大人たちから「見えない」ものになりがちです。

道具である携帯電話自体に「良し悪し」があるというよりも、それらと子どもたちの関係が「しっかり検討されていない」「見守られていない」点にこそ、問題があるのではないでしょうか。


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