2012-08-27

パスナビ スペシャルインタビュー
京北中学校・高等学校 白山高等学校 学校長 石坂康倫校長先生


京北中学校・高等学校

京北中学校京北高等学校白山高等学校
学校法人京北学園は学校法人東洋大学と2011年に法人合併しました。2015年より文京区白山の新校舎へ移転し、男女共学化・併設型中高一貫教育校としてスタートを予定しています。2012年4月に着任した石坂康倫校長先生は、東京都立桜修館中等教育学校、東京都立大学附属高等学校、そして東京都立日比谷高等学校で校長として勤務されました。今日は、これまでの校長時代のご経験と、今後の京北の学校改革について構想を語っていただきます。



論理的な思考力を育成し、無限の可能性を秘める生徒を育てる学校に


── 都立桜修館中等教育学校は今年初めて150人の卒業生を輩出し、東京大学4名をはじめ国公立大学に合計33名が合格という結果でした。石坂校長先生は、同校の開設準備担当を含め校長として5年間勤められましたが、桜修館の進学実績の秘訣は何だったのでしょうか?

現在は桜修館の現場からは離れていますので、あくまで想像でお話しますが、3つの理由があると思っています。

1つ目は「育てる学校をつくる」学校づくりです。どのような成績の生徒が入学してきても、生徒を「育てる学校」を作ろうと、桜修館の開設準備1年目の担当者4名で話していました。つまり、大学進学実績を上げることだけを目的とせず、無限の可能性を秘めている子どもたちを6年間かけて育てる学校にしようと頻繁に話していました。

2つ目は、論理的な思考力の育成です。都立の中高一貫教育校は、2005年に白鴎が開校し、その翌年に小石川、両国、桜修館が開校しました。すべての学校が教養教育を重視しながら、それぞれ特色を出すことを求められました。そして、白鴎は日本の伝統文化を、両国は国語力の育成を、小石川は理科と数学を、桜修館は論理的な思考力の育成に力を入れることとなったのです。

なぜ論理的な思考力かというと、海外の方とより近い距離で意見交換や議論をしなければならない場面に遭遇したときに、自分が伝えたいことを正確に伝える力が必要であると考えたからです。同時に、相手が言いたいことをきちんと受け止める力もつけなければならないでしょう。これは「英語ができる」こととは違います。日本語であっても分かりやすく話ができれば、通訳する方も自分の考えと近い形で相手に伝わるのではないでしょうか。相手に自分の考えを伝えられる力は何かと考えたところ、「論理力」だと思いました。

具体的には、前期課程の選択教科に「国語で論理を学ぶ」「数学で論理を学ぶ」という授業を設けました。文章を要約したりグループ内で討論することで、論理的に考える力を育成したわけです。

また、前期課程の生徒には、大学進学について私から何も言いませんでした。大学の話をすると、大学に入ることが最終目標になってしまうと思ったからです。授業を行う側も、常に大学進学を意識した授業になる可能性があります。
前期課程では、「学びたい」と生徒が思う、そして学ぶ姿勢をしっかり身につけておくことが大事だという発想をしました。大学受験に関しては、中学のときに学ぶ姿勢ができているので、後期課程から準備をしっかりすれば間に合うと思っていました。

3つ目は、生活指導の充実です。
「あいさつをしっかりすること」「まずは、人の話をよく聴くこと」「何事に対しても一生懸命に取り組むこと」-この3点ができれば、ほとんどのことができると生徒に伝えてきました。これを前期課程で身につけてくれたのが大きいと思います。この3点の心がけが、授業中の学習態度から始まり、学校生活のさまざまな場面で効果的に働いています。
これは、桜修館だけではなく、後に勤務する日比谷高校と本校でも話しています。

以上のことが受験のときに作用して、学力が伸びたのだと思います。


「最後まで諦めない指導」で都立日比谷高校を進化させる


京北中学校・高等学校── その後2009年から都立日比谷高校の校長として3年間勤められましたが、同校での教えはどのようなものだったのでしょうか。

1年生から、将来のことや自分の目標、それに向けた大学への進学を意識付けました。受験勉強をすること自体が人間形成の一環であるというとらえ方をして、先生方にもはっきりと伝えていました。公立の中学校から入学する生徒は、基本的には先取り学習はしていません。生徒の志望校は半数以上が東京大学ですが、6年間ある桜修館とは違って公立高校の3年間だけでは間に合わないのです。
日比谷は受験一辺倒ではなく、行事も多いです。例えば、文化祭は3年生までの全クラスが劇を上演しますので、大変忙しいです。

さらに、2つのことを強調しました。

1つ目は「教養主義」です。文系に進もうと理系に進もうとすべての科目を勉強することが大事です。あらゆることを勉強しなければいけないとの考えから、全科目履修型にしています。

2つ目は「全人教育」です。教科・科目の学習が大切なのは当然ですが、高校生活は勉強だけではなく、別のところで自分の能力を発揮し身体を動かして汗を流すことも重要です。学校行事などで協力して行事を作り上げることも大事であると伝えてきました。

日比谷の生徒は、皆が自信をもって取り組んでいるわけではありません。
東京大学を志望する3年生は、10月の模試の判定ではほとんどがD判定かE判定でした。それでも諦めずに受験し、合格を信じて最後まで頑張っています。 先生方には、最後の最後まで学校で指導し、生徒が分からないことがあれば先生に質問できる体制を作ってほしいとお願いしました。東京大学の後期は理Ⅲを除いて100人募集があり、日比谷は3人が合格しました。後期日程が終わるまで頑張り続けることを徹底しました。結果として、私が日比谷に勤めていた3年間は、全国の公立高校で東京大学の現役合格者数はトップでした。


2012年、学校法人東洋大学 京北中学校・高校・白山高校の校長に着任


── ご定年退職後、なぜ京北中学校・高等学校・白山高等学校の校長先生になられたのでしょうか?

ある方との出会いが大きかったです。本学園にお声をかけてくれた方は、私よりも約10歳も上でしたが、若々しく凛々しかったのです。その姿を見て、定年退職後は少しのんびりしたいと思っていた自分の気持ちが払拭されました。こんな気持ちでいてはいけない、まだやれる!とその方を通じて感じました。3つの学校を改革することは大変ですが、新しい学校づくりをすることは夢があります。挑戦しようと思いました。

── 京北中学校・高等学校・白山高等学校の学校改革について「進路希望の実現と国際教育の推進」を掲げていらっしゃいますが、具体的な内容を教えてください。

京北では、哲学教育と国際教育を柱に置いています。「よりよく生きる」ことを生徒たちに考えさせたいと思っています。「よりよく生きる」とは、常に「学び続ける」ことだと思います。“これでいい”ということはありません。常に追求し続けることが大事です。
さらに、人がみんな幸せになってほしい、そのために自分の力を尽くせることが、実は自分の幸せにつながる生き方であり、これが「よりよく生きる」ことだと考えました。

そして、よりよく生きるために、自己の哲学―どのように生きるのかという自分の信念をきちんと持っていることが大事ではないでしょうか。そのような「自己の哲学」をもって、本当の教養を身につけた人材を育てる学校にしようと思っています。そのために、本当の教養を身につけた国際人の育成を目指す構想があります。

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