清水章弘先生の受験生活お悩み相談室

2015-03-18保護者のサポート

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質問

現在中学1年生の保護者です。春から通塾を検討しています。塾を選ぶときにチェックしたいポイントがあれば教えてください。

回答

塾がお子様をどれくらい「かけがえのない存在」として扱ってくれるかを基準にされると良いと思います。



皆さん、こんにちは。清水章弘です。風から春の匂いが漂い始めました。春は別れと出逢いの季節です。3月は、私の塾にも多くのお問い合わせを頂きますが、新入生と出逢う喜びで、卒業生と別れた寂しさを毎年紛らわせています。 さて、今月は珍しいご質問を頂いています。私は学習塾の経営者でもありますので、もちろんこれには答えやすいのですが、その反面答えにくさもあります。正直なところ、発展途上の私が塾を分析してご提案するのは、荷が重く感じるのです。とはいえ、多くの方が悩んでいらっしゃいますので、勇気を出して「塾の選び方」を書いてみたいと思います。

「塾選び」を始める前に…


まず、塾を選び始める前に知っておいて頂きたい、塾の基礎知識を書きたいと思います。

①進学塾/補習塾
塾は大きく分けて2つのタイプがあります。それは、志望校合格を目指す進学塾と、学校の定期テスト対策をしてくれる補習塾です。どちらにも対応してくれる塾を総合塾と言うことがありますが、どのタイプにするか選ぶために、まずは塾に通う目的を考えて下さい。

②集団指導/少人数指導/マンツーマン指導
目的を考え、どのタイプの塾に通うかを考えたら、次は指導形態を選んでください。大きく分ければ集団指導とマンツーマン指導ですが、近年は「1対2」や「1対5」などの少人数指導も出てきています。提供するサービスだけでなく、費用も変わりますので、どれが良い、というのは一概には言いにくいところがあります。

③大手塾/個人塾
最後は塾の規模を選んでください。大手塾と個人塾に分ける場合、それぞれ強みと弱みがあります。大手塾には競争相手が多くいるので、競争好きのお子様には適しています。しかし、なかなか一人ひとりに目が行き届かないこともあり、ある程度自分で学習を進められる子でないとうまくいかない場合があります。その点、個人塾は手厚くサポートしてくれるところも多いのですが、手厚すぎて自律的になりにくいこともありますし、競争相手がいないほど小さい規模の場合は物足りなさを感じてしまうかもしれません。大手塾にしても、個人塾にしても、その教室長さんの影響を色濃く受けています。実際に足を運んでみて、教室長さんの話を聴いてみるのが良いでしょう。

見学をするときに、塾に聞いてほしいこと


①~③を考えつつ、お知り合いのクチコミも参考にして、いくつか候補を出してみてください。そして、問い合わせをして、資料請求をして、教室見学、という流れになります。

資料というのはたいてい「良いこと」しか書きませんから、「これはありえない!」という塾を除いて、見学に行かれてみるのが良いと思います。見学される場合は、多くの塾では担当者が相談に乗らせて頂きます。もちろんここでも「良いこと」しか言いませんので、いくつか確認をして頂きたいことがあります。

(1)カリキュラム
集団指導の場合、お子様だけのために作られたカリキュラムではありません。どのようなカリキュラムかを確認してください。そして、そのカリキュラムとの差をどのように埋めてくれるのか、もしくはどのように自分で埋めていけばよいのかを確認してください。
(2)研修体制
塾において最も大切な要素は「人」です。どんな講師が担当するのか、そして講師たちはどのように採用され、育てられてきたのかを尋ねてみると良いかもしれません。
(3)「塾-家庭」のコミュニケーション
塾はご家庭と一緒に作られていくものです。塾での情報とご家庭での情報を、互いに共有していかなければ、お子様は伸びていきません。指導報告はどのように行われるのか、面談はどのようなタイミングで行われるのか、などを聞いておく必要があります。

このように面談でいくつか質問をして頂いた後、体験授業へと進みます(体験授業がない場合もあります)。その時は、一つだけ確認してください。それは、体験授業をしてくれる先生と、実際に授業を受け持つ先生が同じかどうか、です。塾によっては「体験授業用の良い先生」が野球の代打選手のように出てくる場合があります。あとで揉めないためにも、予め確認しておくことをおすすめします。

「塾が選べない!」そんなときは…?


体験授業が終わったら、総合的に考えて、どの塾に通うかを決めてください。お子様の感想、家からの距離、安全性、教室の雰囲気、費用、実績、評判など、数多くの観点があります。もし、どれも魅力的で、どうしても決めきれない場合は、ご自身のお子様をどれだけ「かけがえのない存在」として捉えてくれているか、で判断されると良いと思います。

塾は教育機関と言っても、会社組織です。僕がこの仕事を始めて間もない頃、とある塾関係者が「塾の先生は、右手にソロバン、左手にチョークを持たないといけない」と堂々と仰って面食らったことがありますが、利益第一でやっておられるところも、たまに見受けられます。良い塾とは、子どもを「かけがえのない存在」と捉える文化が根付いているところです。先生1人と生徒30人の集団授業であったとしても、1対30という人間関係は存在しません。1対1が30個あるだけです。どこに通わせるか最後まで迷った場合は、お子様一人ひとりにどれだけ親身になって寄り添ってくれるか、を指標にされると、自然と決まってくるかもしれません。

塾の先生を本気にする方法、こっそり教えます。


最後に、ここだけのマル秘のお話として、「塾の先生を本気にする方法」をご紹介したいと思います。これはとても大切なお話になりますので、ちょっとだけ丁寧に説明させてください。

そもそも、私は、「伸びる子のご家庭」で共通していることが、大きく分けて2つあると考えています。1つ目は「お子様を無条件で承認してあげているご家庭」です。これは「あたたかいご家庭」と言い換えることができます。もちろんご家庭以外にしっかりとした居場所がある子の場合、必ずしもご家庭が居場所でなくてもよいのかもしれませんが、教育学の見地から申し上げれば、その方が「人を信じることができ、挑戦ができるタフな子」が育ちます。2つ目は「教育方針がブレないご家庭」です。もちろん、全くブレないわけではありません。どのご家庭でも、悩みながら軌道修正は繰り返されます。しかし、「うちの子はこう育てたい」という「願い」や「意志」をお持ちのご家庭のお子様は、伸びていかれるように思えます。

私がお伝えしたいのは、この2つ目の「教育方針」をご家庭で議論していただいた上で、是非とも塾側に話をして頂きたいということです。「え?塾は成績だけを上げるところではないの?」と不思議に思われるかもしれませんが、そんなことはありません。塾で働くのは、とても体力が要ります。「成績を上げたい」というモチベーションだけでは、続きません。先述の利益第一でやっておられる塾を除き、多くの塾の先生は「こういう子を育てたい」という意志をもって仕事をしています。この「教育方針」を話して頂けると、塾側も「本気」になります。私たちの心のスイッチがONになります。

モノを買うように、「お金を出すので、塾の先生は成績だけ上げてくださいね」では塾側の私たちも少し寂しく感じてしまうものです。少しだけでいいので、お子様の人生に真剣に携わらせてください。皆さんにとって少しでもお役に立てるよう、私たちもがんばろうと思います。



※「清水章弘先生の受験生活お悩み相談室」は、今月をもってしばらくお休みさせていただきます。清水先生の新しい企画にご期待ください。

塾選び




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プロフィール

清水章弘-2011年に東京大学教育学部を卒業し、東京大学大学院教育研究科に進学。2008年に、学習塾プラスティーを立ち上げた若き起業家としても注目されている。これまでに6冊の本を出版し、中学生・高校生に「勉強のやり方」を伝えている。著書に『中学生からの勉強のやり方』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)や『現役東大生が教える! 頭がよくなる7つの習慣』(PHP文庫)がある。


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