志望校選択の理由のひとつになる「部活動」。さまざまな部活動を通じて輝いている先輩方の姿を編集部が取材します。
部員数 | 高校生 23名 |
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部活動の特徴 | 神奈川県内屈指の強豪校として名高い武相高校ボクシング部。同校のボクシング部は50年以上の伝統と実績があり、毎年多くの生徒が全国大会に出場し、好成績を収めています。 日々の練習や試合を通じて、忍耐力や努力や根性など、社会に出ても役立つ力を養っています。 ◆武相中学・高等学校のパスナビ学校情報はこちら⇒中学・高校 |
最新のCAV設備(定風量装置)を装備した3階建ての講堂体育館に、ボクシングジムがあります。
ボクシングには「プロ」と「アマチュア」があり、同校はアマチュアボクシングです。アマチュアボクシングは、プロのようにダウンを奪うものではなく、当たったパンチの数でポイントを競います。プロボクシングの「激しく殴りあう」イメージとは異なるものです。
アマチュアボクシングは安全面にも細心の注意が払われており、ヘッドギアの着用が義務付けられています。
ボクシング部の活動日は月~土曜、朝は1時間トレーニング(走りや筋トレ)中心に、午後は約2時間練習しています。
本日は、高1生から高3生の部員3名と、17年間指導されている顧問の梶田太郎先生にお話を伺いました。
◆鈴木俊輔君(高1生)インタビュー
鈴木君
中学の頃は野球をしていたのですが、中2の時にテレビでプロボクサーの亀田興毅さんの試合を見たのがきっかけです。「自分もあんな風に格好良くなりたい」と憧れ、家の近くのボクシングジムに通い始めました。
鈴木君
野球などの団体スポーツはそれぞれ体格の差がありますが、ボクシングは同じ体格の相手と同等な条件で試合をするところが魅力だと思います。それに勝ち負けがはっきり出るところが好きです。
鈴木君
中学3年の夏頃になっても進路を決められなかったのですが、できればボクシングで進学したいと漠然と考えていました。武相のボクシング部は、神奈川県内で一番強いんです。せっかくボクシングをするなら強いところでやりたいと思いました。それで顧問の梶田先生に連絡してみると、「練習に参加してみたら?」と声をかけていただけました。入学する前から体験で練習させていただきましたが、先輩たちの感じがとても良かったです。ほかの学校のボクシング部とも比べた結果、武相を選びました。自分はスポーツ推薦での進学だったのですが、ここなら間違いなく3年間部活動を続けられるし、絶対強くなれると思いました。
鈴木君
腰を怪我しています。いまはオフシーズンなので、練習のサポート役に回りながら、しっかり治させてもらおうと思っています。自分のほかにも怪我をしている人は多いです。手首とか足首とか。次の大会が4月なので、あと2か月で治すようがんばります。
鈴木君
礼儀です。武相のボクシング部は礼儀にとても厳しいです。とくに挨拶はしっかりします。自分は中学のときは礼儀が全然なっていなかったので、いまでは考えられないほどです(笑)。梶田先生は厳しいですが、そうした礼儀についてしっかり教えてくださいますので感謝しています。
鈴木君
親は気を遣ってくれていて、減量の時期は自分がいない間に食事を済ませてくれます。それ以外のときでも、筋トレや減量している自分のために鶏の胸肉やささみなど、完全に私だけに別メニューを作ってサポートしてくれます。
鈴木君
高校生になると、部活やクラスメートの中に必ず気が合う友達が一人はいると思います。そんな友達と出会えるのはとても楽しいです。友達同士、お互い支えあうことで勉強もがんばるようになると思います。
◆玉城龍太君(高2生)インタビュー
玉城君
もともと格闘技に興味がありました。プロボクシングの試合や、大晦日に放映していた格闘技の試合を見ることも多かったです。それで中学のときに近所のキックボクシングのジムに通い始めました。武相高校に入学が決まってからは、施設が整っていて、強いボクシング部に入部しました。
玉城君
武相のボクシング部は練習中と練習後の雰囲気がまったく違います。練習以外のときは、和気あいあいとしていますが、一旦練習が始まると集中力が高まります。雰囲気がガラッと変わるんです。
玉城君
ボクシングは実際の試合時間は短いのですが、短いなりに集中できるようになりました。
練習メニューとしては今の時期が一番きついです。だから怪我したり、体調を壊している人も多いです。自分は腰を痛めています。もともと持病みたいなものでもありますが…。でも、試合に勝ちたいのでがんばります。
玉城君
予選で3回勝ち抜いて、関東大会の本戦まで進むことができました。前回はフライ級でしたが、次回からはより軽いライトフライ級で挑戦する予定です。
玉城君
体重は増えました。筋肉が増えたからかもしれません。
玉城君
試合に勝つことでモチベーションが上がります。ボクシングをしている人は、皆勝つのが大好きだと思います。
玉城君
まだあまり考えていないです。大学から推薦をいただければ、ボクシングを続けたいと思っています。そのためには、今後もがんばって良い結果を出して将来につなげたいです。
玉城君
武相高校はスポーツが有名です。もしスポーツをがんばりたいのなら武相高校をおすすめします!
◆堀尾裕司君(高3生)インタビュー
堀尾君
空手は幼稚園から高校に入学するまで続けていました。もともと高校でも空手をやろうと思っていましたが、武相高校には空手部がなくて…。でも格闘技を続けたかったし、もともとパンチを打つのが好きだったので、ボクシング部を選びました。それに武相はボクシングが強いことで有名でしたし。
ボクシング部に入部したての頃は、空手にある「蹴り」が無いことになかなか慣れませんでした。足の「蹴り」が無い分、コンビネーションが変わってきちゃって…。練習中、思わず蹴りが出そうになることも多くて、そこが一番難しかったです。
堀尾君
とても大変でした。初めの頃、2週間で10キロ位を一気に落としたのですが、さすがに無理があったのか体調を崩してしまいました…。
堀尾君
精神力のほうが大事だと思います。試合は終盤になると精神力での勝負になります。アマチュアボクシングは、プロとは違って3ラウンドしかありません。1ラウンド3分間の中でいかに集中できるかで勝ち負けが決まります。プロの試合では手を出さないラウンドもありますけど、アマチュアは限られた短い時間の中でとにかく攻めるしかないんです。
堀尾君
親指はこれまで何回も折れてしまいました。パンチの打ち方が悪いからかもしれません。
堀尾君
インターハイでベスト8まで行けました。卒業後は日本体育大学への進学が決まっています。
堀尾君
高3生は4人で、ほかの学年と比べると人数は少ないですが、仲はとても良いです。
練習のときはとても厳しいのですが、終わったあとは皆仲良くしています。同じ目標があるから仲良くできるのかもしれません。とくにきついときは皆で「かんばろう!」って声をかけあって乗り切っています。
堀尾君
自分は、さぼったら終わりだと思っています。絶対にさぼらず練習を続ける、これに尽きると思います。これからも強い男を目指します!
梶田先生
部員の半分程度がボクシングの未経験者です。中学までは別の部活動をして、引退して卒業するまでの半年間くらいにボクシングを経験したケースが多く、入部の時点で本格的にボクシングをしていた生徒は少ないです。
「これまでの自分を変えたい」「精神的に強くなりたい」といった理由からボクシングを始めた生徒もいます。
梶田先生
はじめは鏡の前で基本の構えから練習し、夏まで徹底的に基本を身につけます。まずはヘッド・ギアをしないで基本を意識させて練習。その後ヘッド・ギアを着けて打つ練習をします。次はスパーリングといって、模擬戦をします。そして夏合宿で他校の生徒と試合をして、実践を経験してから11月の新人戦を迎えます。
梶田先生
真面目な生徒が多いです。真面目さや競技に対する真摯な姿勢がないと、ボクシングを続けることはできません。
ボクシングという競技は、陸上で言うとマラソンのようなもので、ラウンドで常に動いている運動です。8~9割は動いていて休息がありません。午後の2時間の練習は、ほとんど休憩なしで集中して取り組んでいます。
また、ボクシングには約3キロ刻みで階級があります。試合前の減量は、食べ盛り・育ち盛りの生徒たちにとっては大変過酷ですが、生徒たち自身が計画を立てて体重をコントロールしています。
練習を積んである程度体が出来上がり、パワーをつけてから体を絞っていったほうが、パンチ力をほぼ維持したまま一つ下の階級で試合に臨めるので、有利に働く場合があります。ただ単に食事制限をして痩せるだけではパワーが出しづらくなりますので、減量は難しいです。
今の時期(※取材時は2月)は試合がしばらくないので、比較的緩い時期です。殺伐としてくるのが試合の予選前。4月の関東予選、6月のインターハイ予選の前は、張り詰めた空気が流れます。4月はまだ寒いので、なかなか減量が難しい。生徒たちは、ベンチコートを何枚も着てフードをかけ、布団を二枚くらいかぶりヒーターの前で発汗する光景が見られます。
梶田先生
数年前は部員が全体で6~7人でしたが、現在は23人います。人数は力です。同じ階級にライバルがいるので、切磋琢磨しています。
梶田先生
後援会・父母会がHP(こちら)を作ってくれたことが大きいです。「HPを見て入部を決めた」「HPにある『父母からのコメント』を読んで、安心して子供を預けられる」といった声から、2年連続で10人以上が入部してくれました。
梶田先生
社会にいずれ巣立つ生徒たちが、いくらインターハイで優勝して強くても、国体で良い成績を残しても、「それ以外に何ができるか」ということが重要です。挨拶一つもできないで、ボクシングだけ強くてもいけません。部活動を通して、ボクシングの技術だけではなく、人としての大切なことを身につけて欲しいという想いから「礼儀」を重んじて指導しています。
スピード感のある動き、パンチ音が鳴り響く練習場。高校生とは思えない、緊張感が漂った迫力ある練習風景でした。真剣な眼差しで集中して練習に取り組む姿は眩しかったです。
後援会・父母会が運営されているHPを拝見すると、厳しい練習、試合に臨んでいる部員たちを、日々温かく見守って応援されている様子が伝わってきます。
私たち編集部も、成長し続けているボクシング部の今後のさらなる活躍を期待しています!