2010-02-19

学芸科学創造館へようこそ!

「創造」のことばの意味は、「新しいものをはじめてつくりだすこと」です。
この創造館では、旺文社主催「学芸科学コンクール」に寄せられた作品の中から、中・高校生の創造的な作品を紹介していきます。
パスナビ編集部では、みなさんの感性を伸ばし、創造力を高め、これからの未来をひらいてほしいと願っています。

◆「学芸科学コンクール」とは◆

内閣府・文部科学省・環境省後援「全国学芸科学コンクール」は、「全国の小・中・高校生の研究・アートおよび文芸の振興奨励と、青少年の個性の育成」を目的に、各界多方面の方々からご賛同を賜り、昭和32年(1957年)の第1回開催以来旺文社が毎年実施しています。
「青少年の感性を伸ばし、創造力を高める」コンクールの教育的意義をご理解いただき、積極的なご応募を心からお待ち申し上げます。詳しくは学芸科学コンクールのページをご覧ください。

兄妹そろっての金賞受賞 (2)

第53回 読書感想文部門 金賞 村上千紘さん(高校1年生)
詩部門 金賞 村上皓哉くん(高校2年生)

詩部門、読書感想文部門にて、兄妹が同時に『金賞』受賞。
50年以上の学芸科学コンクールで、稀に見る快挙です。
受賞されたのは、現在慶応義塾高等学校2年生の村上皓哉さんと、明治大学付属中野八王子高等学校1年生の千紘さん。
豊かな感性と表現力、抜群の文章力とセンス、文章に向ける真摯な姿勢を合わせ持つ、おふたりの実力があってこその結果です。
今回はそんな文学兄妹に文学のこと、文章の書き方、将来の夢などを存分に語っていただきました。
全3回にわたってお届けします。

第1回
インタビュー:日常生活の中で「読書」とは・・・
作品紹介:村上千紘さん 「つながり続ける」
第2回
インタビュー:文章を書く秘訣や工夫
作品紹介:村上皓哉くん 「ばかの穴」
第3回

インタビュー:高校生活と将来の夢

第2回 文章を書く秘訣や工夫

-皓哉くんは詩を書くとき、どんなことからネタやヒントを得ているのですか?
皓哉くん:書こうと身がまえると逆に書けないので、突然ふっと湧いてくる思いつきやひらめきを信じています。金賞をいただいた作品は、じつは中学生のとき、インフルエンザで高熱にうなされているなかでふと『ばかの穴』というものが心に浮かんできたものです。でもそれはまだおぼろげで不確かな原案としてずっとそのままにしてありました。ところが今回のコンクールに応募するまえ、発熱しまして…(笑)。そのときも『ばかの穴』が見えて、詩のなかにもあるように「とうとう僕はその穴を覗きに行ってしまった」ということで、穴のなかで感じとってきたことをつなぎ合わせて完成しました。じつは応募したあとに今回の作品を保存していたパソコンのデータが飛びまして、もし金賞をいただいていなければ、ぼくのもとに二度と戻ってくることのなかった作品です。ぼくの作品のなかでもとくにエピソードの多い、思い出深い作品となりました。
-千紘さんは小説も書くということですが。
千紘さん:プロット(※)を立てるときに想像力からいろんなことを絞り出します。でも、いろんなことを経験していないぶん、自分の引き出しをふやすためにふだんの生活においてなにか良い材料はないものかといつもアンテナを張り巡らせています。友人と話しているときも良い題材が潜んでいたり、話の内容からもヒントをもらうことがあります。

※プロット…小説、戯曲、映画、漫画等の創作物で、物語の枠組み、粗筋のこと。
-文章をうまく書けるよう努めていることは?
千紘さん:文章を書くことはもともと得意ではありませんでした。でも、あるときから二日に一度の頻度で友人たちと交換ノートをはじめて、数年にわたってその日の出来事や自分の気持ちを素直に書き記し続けていたら、授業の課題で読書感想文を書いているときに、驚くほどすらすらと書けるようになっている自分に気づきました。以来、感じたことを素直に書くことを大切にしています。それでも文章を書いていると煮詰まり、どうやっても文章がまとまらないこともあります。そんな状況に陥った場合、わたしは自分ひとりで考え込まずにほかの人の意見をいろいろと聞き、誰かとその話題について話すようにしています。誰かと話すことで自然と自分の伝えたいことが不思議とまとまってくるんです。
皓哉くん:最初からうまく書こうと思ったことは一度もありません。ぼくの場合、まず手始めに必ずメモ書きします。書きたいことの全体像を想像して、そこに必要なポイントを箇条書きしていきます。ポイントさえ押さえてしまえば、全体像はさらに明確になってきますし、そうなれば内容をどのように展開していけばいいのかもはっきりと見えてきます。書きたいことのポイントの箇条書きは、ぼくにとって文章を書くうえでいちばん頼りにしている方法です。それから、やはりたくさん書くことで上達はしてくるものだと感じています。
-ときどき煮詰まるということですが、それはどういうときに起こりますか?
千紘さん:自分の心が満たされていると、逆に言葉がまったく浮かんでこないかな。たぶん充実しているからこそ、心の奥底からこみ上げてくるものがないのだと思います。
皓哉くん:能天気な性格だからでしょうか、煮詰まるときがないんです(笑)。
-文章を書くとき工夫されていることはありますか?
皓哉くん:詩を主に書いているので、段落の切れ目にいつも気をつかっています。つまり、行数のスペースをどのくらい空けてから次の文章を書きはじめればいいのか、ということです。スペースは1行でいいのか、それとも2、3行を空けるべきなのか。段落の切れ目におけるスペースの扱い方にいつも悩まされます。段落の切れ目によって、全体の雰囲気も印象も変わってきますから。
千紘さん:思いつくままに書いているので、とくに確実といえる必勝法みたいなものは持っていません。ただ、いつも気をつけているのは難しい言葉は必要でない限り使わないことです。文章は読みやすいということが肝心だと思っているからです。それから文章と文章をつなぐときの接続詞にも神経をつかいます。接続詞を間違えると自分の伝えたいこととは逆の意味になってしまったり、つなぎがわるくて内容がちぐはぐになってしまうのを避けるためです。

■皓哉くんが詩を書きはじめたきっかけは中学生のときに出された課題のトラウマ!?

皓哉くん:中学生のときに作品を書く授業がありました。そのとき、ぼくは三編に分けて提出したのですが、当時の先生に一編にまとめられて戻ってきました。正直、ショックでしたけど(笑)。それならば最初から短い文章で内容を凝縮して書いていこうと思い、詩や短歌をはじめてみました。詩や短歌が思いのほかおもしろくて。短い文章のほうが自分に向いていたみたいですね。
-文章を書くうえでお互いに話し合うこともありますか?
千紘さん:お互いの文章を批評し合うことが多いですね。この表現や言いまわしがおかしいとか、ここはもっと簡潔にまとめたほうがいいとか。文章を客観的に見てもらうことで、お互いが自分では気づけなかった欠点も見えてくるんです。そういう指摘が次に必ず活きていくので協力し合える相手であり、よきライバルでもあります。

■兄妹でほとんどケンカをしたことがない。

皓哉くん:不思議と昔からずっと仲がいいんです。昔は妹の遊びに加わることも多かったし、逆に女の子特有の遊びにつき合わされたこともありますけど(笑)。ぬいぐるみをつかった遊びとか、おままごととか、いろいろですね。
千紘さん:たくさんわがままを言ったはずですが、兄がとても温和な性格だったおかげでケンカにまで発展しなかったのだと思います。今は勉強を教えてもらったりしています。わかりやすく教えてもらえるので、わたしにとっては優秀な家庭教師みたいな存在でもあります。

■編集部から

伝えたいことを、分かりやすく文章で表現すること・・・、簡単に出来ることではないと思います。 お二人は、たくさん書くこと、書きたいことのポイント箇条書き、いろいろな人の意見を聞くこと、兄妹で作品を批評し合うなど、 読み手に伝わる文章を書くために、さまざまな努力と工夫を続けられていらっしゃいます。大変勉強になりました!

次回は、お二人の高校生活と将来の夢についてお伺いします。


作品紹介

『ばかの穴』   村上 皓哉さん

僕という人間は
ここにふさわしいのでしょうか?
どうやら僕の頭の中には
小さな穴が存在するのです。

その穴からは、
光が放たれていて
かなり遠くからでもそれとわかります。
熱にうなされたある日、
とうとう僕は
その穴を覗きに行ってしまったのです。

過去の僕が歩いていました。
つまらない失敗にうろたえる僕
口から零れてしまった嘘
蔑んだような瞳に映る惨めな姿
そんなのは自分じゃないと突っ張って
もっと上手い言い訳はないか?
もっと上手い手立てはないか?
いっそ忘れてしまおうか?
繕うほど赤面し
悩んだ挙句に時間ばかりが過ぎて、
何も出来ず、
何も変われず、
そんなことは
まるで気にしない素振りをしながら、
能天気な顔をしながら、
そこにいる誰よりも
嘘の自分を気に病んでいる。

人は自分と他人を比べ
自分はあいつよりましだと
自分を慰めるものでしょうか?
孤独にそれと向き合って
傷つくことを避けるものでしょうか?

穴は少しずつ広がって、
いつか僕を支配するでしょう。

僕という人間の哀れさは、
ばかに覆われ誰にも
見えず、
気づかれず、
ひとり、ひっそりと
落ち込むことがあるのです。




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