2010-04-13

学芸科学創造館へようこそ!

「創造」のことばの意味は、「新しいものをはじめてつくりだすこと」です。
この創造館では、旺文社主催「学芸科学コンクール」に寄せられた作品の中から、中・高校生の創造的な作品を紹介していきます。
パスナビ編集部では、みなさんの感性を伸ばし、創造力を高め、これからの未来をひらいてほしいと願っています。

◆「学芸科学コンクール」とは◆

内閣府・文部科学省・環境省後援「全国学芸科学コンクール」は、「全国の小・中・高校生の研究・アートおよび文芸の振興奨励と、青少年の個性の育成」を目的に、各界多方面の方々からご賛同を賜り、昭和32年(1957年)の第1回開催以来旺文社が毎年実施しています。
「青少年の感性を伸ばし、創造力を高める」コンクールの教育的意義をご理解いただき、積極的なご応募を心からお待ち申し上げます。詳しくは学芸科学コンクールのページをご覧ください。

一人一人のエコ活動

第53回 文芸分野Ⅱ 作文・小論文部門 中学生の部 金賞
吉野 真理子さん(白百合学園中学校1年)

◇受賞者からのメッセージ◇

今回の作文でレジ袋をテーマにした理由は、多くの人にとって身近であり、 マイバックを持参することは色々な人が実践できると思ったからです。

“自分の力だけでは、環境は変えられない” と思う人が多い気がしますが、 一人ひとりが動くことで、小さくても環境を変えていくことはできると思います。

まずは、一人でも実践できることをやってみることが大事だと思います。

さまざまな人にこの作品を読んでいただき、環境問題に関心を持ってもらえれば嬉しいです。

作品紹介

「一人一人のエコ活動」 吉野 真理子さん

宇宙飛行士の若田光一さんが約4カ月間の宇宙滞在を終えて、地球に戻ってきたことが7月にはニュースで大きく報じられた。

私は、「スペースシャトルのハッチが開くと、草の香りが機内に流れこみ、地球に優しく迎えられた気がした」という若田さんの言葉がとても素敵だと思った。

コンラートアクアリウムと呼ばれる水槽があることを教えられたことがある。大きな水槽に水草と小さな魚をバランス良く数匹いれると、餌をやらなくても水草も魚も生き続ける。コンラートアクアリウムは非常に微妙なバランスの上に成り立っている。ほんの少しでもバランスが崩れてしまうと、水槽の中の生物は皆死んでしまう。若田さんが宇宙ステーションから毎日見ていた地球は一つのコンラートアクアリウムなのだ。

人類発展の歴史は、石炭や石油といったエネルギー資源を大量に消費し、動植物を乱獲し、汚染物質を大量に排出することによってできたものだといえると思う。今、人類はそのツケが回ってきたことを思い知らされている。地球というコンラートアクアリウムはバランスを崩しかけ、その中で暮らす全ての生物は危機的な状況におちいっているのだ。

私たちは地球の生態系のバランスを取り戻すために、地球の環境を考えた生活を送らなければならない。そこで今回、私は家族が日常生活の中で自主的に行っている環境対策としてマイバッグについて調べることにした。マイバッグ運動とは、買い物に行く際に買い物袋の持参を呼びかける環境保護運動のことである。繰り返し利用できる買い物袋を使用することによって、ゴミの削減や、それに伴う二酸化炭素などの温室効果ガスの削減、レジ袋の原料となる原油の節約など、様々な面の環境保護につながる上、簡単に実践できるため、この運動は近年かなり盛んになってきている。

私の母はいつもマイバッグを持って、近所にあるスーパー三和に買い物に行っている。私も週末など、時々母と一緒に買い物に行くことがあるが、ここではマイバッグを持って買い物に来ている人はあまりいない。

しかし、スーパー三和は町田市の小山田店で全国で初めてレジ袋を全廃したことで有名なスーパーなのだ。

小山田店と若葉台店では、具体的に何がどう違うのか、不思議に思ったため、実際に小山田店に行って両方のお店を比べてみることにした。

小山田店は私の家の最寄り駅である若葉台駅から京王線で十分程度の、多摩境駅が一番近い。多摩境駅からは途中まで町田街道を行き、その後緑の多い山の中の道を通って行く。小山田店は団地の中にあり、想像していたより小さなスーパーだった。レジは3台しかない。(若葉台店にはレジが十台以上ある。)

開店時間の午前10時より少し前に着いたところ、周りの団地のお年寄り達がお店の前に集まって開店を待っていた。

開店時間になり、中に入ってみると、まず野菜や果物がばら売りのものでも一個ずつ袋に入れられていたのが目に付いた。これはおそらく、ポリ袋を無駄に使わないために行われている工夫の一つではないかと思う。

しばらくして、最初に入ってきたお客さんたちがレジに並び始めたので、マイバッグを持ってきている人たちがどれぐらいいるのかを観察してみた。私が実際に観察していたときは、三和で売っているエコ袋を持っている人が多かったが、他にも以前にもらったポリ袋、別のお店の紙袋等のマイバッグを持ってきている人もいて、全員がマイバッグを持ってきていた。マイバッグを持ってきていない人のためには、段ボールや貸し出し用のマイバッグも用意されていた。他に、マイバスケットという買い物かごも売っていた。マイバスケットとは自分専用の買い物かごのことで、店内カゴの下に重ねて持ち歩けて、レジで精算する時に、店内カゴからマイバスケットに品物を移しながら精算する。そして、レシートをマイバスケットに貼ってもらう。こうすることによって品物の万引きが防げる。その後は、マイバスケットのまま、買った商品を家に持って帰ることができる。

また、エコ袋も一枚50円で売っていて、20回程使うことができる。これは、一回使う毎に3ポイントのエコポイントがもらえ、回収時には5ポイントのエコポイントがもらえるから、全部で六五ポイントたまる。

一ポイント1.3円なので、計算すると85円が戻ってくることになる。(85円-50円=35円の得になる。)

帰りがけに、改めて若葉台店にも寄ってみた。同じように観察してみたら、マイバッグを持っている人はほとんどいなかった。また野菜や果物などはそのままで売っているものも多く、ポリ袋もあちこちに用意されていた。若葉台店でもエコバッグやマイバスケットは売っていたのだが、みんなほとんど使っておらず、大きな違いを感じた。

エコバッグを普及させるには、何が必要なのだろうか。

その疑問が解決しないまま、家に帰ったので、更にインターネットなどで調べてみることにした。

だんだん分かってきたことは、「町田発 ゼロウェイストの会」という市民団体がレジ袋廃止に大きな役割を果たしているようだということだ。スーパー三和小山田店は、一日の利用客数が約1500人、レジ袋を廃止する前は年間のレジ袋消費量が約七トンにのぼっていたという。その約7トンのレジ袋をなくすことにより、CO2の排出量を大幅に減らすことが期待できる。

そこで、ゼロウェイストの会は、町田市と一緒に三和に対してレジ袋全廃を申し入れ、更に、経済産業省と環境省の了解を得て、2008年3月14日に小山田店でレジ袋廃止実証実験を開始した。

開始から10日間、小山田店ではエコバッグの無料配布を行い、エコバッグを持ってこなかった人たちのためには市民に紙袋提供を呼びかけたり、段ボールを用意するなどした。また、貸し出し用マイバッグ持参を呼びかけた。その他、エコポイントのPRなども行った。小山田店はレジ袋全廃を始める前からレジ袋を全廃することを広く伝えていたので、お客さんの不満もそれほどなく、無事に実験を実施することができた。

スーパー側がこの実験で良かった点と今後の課題点についてそれぞれ挙げているので、それを紹介すると、良かった点(1)レジ袋廃止を実施しても、店の売り上げがほとんど下がらなかった点。(2)レジ袋全廃について多くのお客さんの積極的な協力が得られた点。今後の課題点…マイバッグを持参しなかったお客さんには、紙袋や段ボールを用意したが、不便さを完全に解消することは出来なかった点。

実験期間中の5月に実施されたアンケートでは、実験に協力できると回答した人が90%、マイバッグを持参している人は96%にのぼった。が、4%の人がマイバッグを持参せずに、紙袋や段ボールを使わなければならず、一日あたり50枚から60枚もの紙袋が必要であった。

そこで、2008年8月から引き続き行われた、第二段階の実験では、一回目の時に市民から集めた紙袋をなくし、代わりにエコ袋(一枚50円)の販売をすることにした。この第二段階の実験は今も実施されている。一回目と二回目(2009年7月まで)のマイバッグ持参率をまとめると、一回目…95.7% 二回目…98.5%と一回目より二回目の方が持参率が高くなっている。

一方、日野市では、市内の全スーパーでレジ袋廃止を計画したが、売り上げが落ちることを懸念して、その計画に参加しないスーパーがでてきたため、計画は実施できなくなった。

三和若葉台店でも小山田店と同じように、エコバッグを店頭に並べたりと、一定の取り組みをしているが、お客さんのマイバッグ持参は進んでいない。

お客さんのマイバッグ持参を進めるためには、やはり、企業がマイバッグ持参を呼びかけ、積極的な取り組みを具体的に打ち出していかなければならないと思う。しかし、日野市の例のように、企業は、利益が減る危険があることはやらない場合が多い。そんな企業をやる気にさせるには、市や市民団体が企業を説得しなければならないと思う。

つまり、エコバッグ持参の推進を成功させるためには、市と市民と企業が一体となり、互いの利益を考慮した上で話を進めるという姿勢が大事なのではないかと思う。

でも、私は、企業が自分の利益のことばかり考えているのではないかという気がしてならない。「一カ月間だけレジ袋を廃止し売り上げが下がってしまうようだったらまたレジ袋を戻す」などという短期間のレジ袋廃止でもいいので、企業がもっと環境についての問題意識を持つべきだと思う。そういう面では、それぞれの企業に年間のCO2削減量のノルマを課す法律を作ることなどはとてもよい取り組みだと思う。

私たちには、一人ひとりが環境問題について自意識を持つことが求められていると思う。

参考文献
・「ソロモンの指環」コンラート・ローレンツ著 早川書房
・ 三和小山田店、町田市、ゼロウェイストの会、日野市、ウィキベディアのホームページ




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