2009-11-17

学芸科学創造館へようこそ!

「創造」のことばの意味は、「新しいものをはじめてつくりだすこと」です。
この創造館では、旺文社主催「学芸科学コンクール」に寄せられた作品の中から、中・高校生の創造的な作品を紹介していきます。
パスナビ編集部では、みなさんの感性を伸ばし、創造力を高め、これからの未来をひらいてほしいと願っています。

◆「学芸科学コンクール」とは◆

内閣府・文部科学省・環境省後援「全国学芸科学コンクール」は、「全国の小・中・高校生の研究・アートおよび文芸の振興奨励と、青少年の個性の育成」を目的に、各界多方面の方々からご賛同を賜り、昭和32年(1957年)の第1回開催以来旺文社が毎年実施しています。
「青少年の感性を伸ばし、創造力を高める」コンクールの教育的意義をご理解いただき、積極的なご応募を心からお待ち申し上げます。詳しくは学芸科学コンクールのページをご覧ください。

地球のために出来ることをし続けたい(1)

慶應義塾長賞 文芸分野Ⅱ 作文・小論文部門 金賞
東京都 東横学園中学校3年生(受賞当時) 岡部達美さん

「地球のために出来ることをし続けたい」…ストレートなメッセージのこもったタイトルのひとつの作文。そこに描かれているのは、中学3年生(当時)の女の子とその家族で取り組んでいるエコロジーに関する取り組み。

テーマを追求する奥深い目線と大人顔負けの文章力により、その作文で、旺文社主催の学芸科学コンクールの作文・小論文部門で金賞を受賞したのは、現在東京都立田柄高校1年生の岡部達美さん。(受賞作を書いたのは、中学3年生当時)
文章にかける想い、家族で取り組むエコロジーな生活、そしてこれからの夢について語って頂きました。全3回にわたり、お届けします。

第1回
インタビュー:「書く」ことのよろこび
作品紹介:第一章「地球環境を守る日」
第2回
インタビュー:家族と作りあげる、エコロジーな生活
作品紹介:第二章「チーム・マイナス六パーセント」
第3回
インタビュー:夢。書き続ける先にあるもの。
作品紹介:第三章 植樹活動

(取材:田中青佳)

受賞者インタビュー

第1回 「書く」ことのよろこび

■数えきれないほどの受賞歴と、作文にかける想い。

―小学生の頃から多くの作文コンクールで入賞。中学校の3年間では70以上のコンテストで入賞されました。テーマも、環境、仕事、平和など多岐にわたります。そのパワーは一体どこから湧いてくるのでしょうか?
関心があることや書きたいと思うテーマに挑戦しているので、楽しんで作文を書いています。コンクールの情報は、先生や両親に教えてもらったり、図書館などにある掲示板を見て、自分で見つけることもあります。入賞するとうれしいので、それで頑張れると思います。高校生になって、中学生の頃よりも応募のための字数が増えて大変ですが、こつこつと書いています。

■「伝える」ための工夫

―テーマの鋭さ、実践している行動の素晴らしさはもちろん、その文章力もかなりのもの。そのコツとは?
思っていることをそのまま書くだけでは、人の心に伝わりません。感情を直接書かずに、いかに伝えるかが大事。そのことを意識しながら、いつも書いています。
書く時にはパソコンを使って、書きたいことをまずはダーっと書いて、それから文章を減らしたり、補足したりしながら調整します。2歳上の兄や父にアドバイスをもらうこともあります。

■小学4年生で始めた、「聞き書き(インタビュー)」

初めて「聞き書き」をしたのは小学校4年生の時。「学童疎開」が実際にどのようなものだったのか、経験のある方に話を聞きに行きました。その方は小学校4年生の時に疎開をしていたので、その時の私と同い年。そんな大変な体験を私の年齢で…と思うと、感じること、考えることがたくさんありました。

■新聞記事を見て、お話を聞きたい人に会いに行く

時間のある夏休みなどに、2歳年上の兄も一緒に、新聞記事を見て興味を持った方に手紙を書いて面談を求め、三味線の職人さん、新潟の苧績み(おうみ)職人さん、広島の被爆者の方などにお話を聞いて作文にしてきました。実際に経験した方の話からは、勉強になることがたくさんあります。

■編集部から

文章を書くことが好き…それ以上に、文章で伝えるためには何が必要なのか、その本質をすでにつかんでいる岡部さんの話には、学ぶべきところがたくさんありました。積極的に自分から行動を起こし、体験者に会いにいく行動力はまさに記者のようです。

次回は、岡部さんが作文とともに取り組んでいる「エコロジー」についてお伺いします。


作品紹介

第一章 地球環境を守る日

今から九年前、新聞が、北極の氷床の一部が融けたと報じました。父が、血相を変えて言いました。「温暖化も、とうとう、ここまで来たね。地球の危機だよ。」

私たち家族は、地球のため、何ができるか、何日も話し合いました。そして、至った結論。二酸化炭素排出量を減らすため、毎週火曜日、一日中、電気を使わないことにしました。その日を、我が家では、『地球環境を守る日』と呼んでいます。

朝起きて、廊下も洗面所も真っ暗の中、携帯用のランタンを頼りに、洗顔。電気を使えないので、前日作っておいた、おにぎりが朝食。そして、登校。
午後七時、学校から戻ると、真っ暗闇の中、玄関のランタンを持って洗面所へ。手洗い。そして、ランタンの待つテーブルへ。夕飯は、電気が使えないので、冷蔵庫に保存の、夏は素麺、冬はおでん。そして、家族そろって、いろいろな話をします。学校のこと、友だちのこと、そして、将来の地球のこと。その後は、ランタンを持って、浴室に。暗い光の中の入浴です。でも、いつもと違って、ものすごくおちつく光環境。入浴後は、また、ランタンを囲んで話し合い。そして、ランタンを消して就寝。電気なしの一日が終わります。

ただ、『地球環境を守る日』にも、曲折がなかったわけではありません。まず、問題になったのが、冷蔵庫。一日中、電気を止めたら、生ものが腐ってしまいました。その後、問題になったのが、水。風呂の残り湯を活用するようにしていたのですが、残り湯の飲料水が不評で、断念しました。だから、『地球環境を守る日』は、厳密には、電気を、二十四時間使わない日ではなくなりました。

結果的に、ずっと貫いてきたのは、電灯を全く点けないことと、夏はクーラーを、冬は暖房を、一切使わないことでした。しかし、たったこれだけの活動で、電気代が、毎月八千円から一万円ほど安くなりました。暗さの体験は、間違いなく、排出する二酸化炭素の減量になりました。

また、一番辛いのは、夏の夜、寝苦しいことでした。そこで、我が家では、い草のゴザを、マットレスの上に敷いて寝ています。また、夏ほどではないにしろ、寒さがこたえるのが、真冬。そこで、我が家は、窓を、すべて、断熱ガラスに変えました。こうして、さまざまな工夫をしながら、私の家では、毎週火曜日の『地球環境を守る日』を、九年間、続けてきました。

しかし、一番の効果は、もしかしたら、地球環境をよくする活動であることに加え、家族の話し合いが増えたことかも知れません。学校のこと、友だちのこと、そして、将来の夢。話は広がるばかりです。




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