2009-12-01

学芸科学創造館へようこそ!

「創造」のことばの意味は、「新しいものをはじめてつくりだすこと」です。
この創造館では、旺文社主催「学芸科学コンクール」に寄せられた作品の中から、中・高校生の創造的な作品を紹介していきます。
パスナビ編集部では、みなさんの感性を伸ばし、創造力を高め、これからの未来をひらいてほしいと願っています。

◆「学芸科学コンクール」とは◆

内閣府・文部科学省・環境省後援「全国学芸科学コンクール」は、「全国の小・中・高校生の研究・アートおよび文芸の振興奨励と、青少年の個性の育成」を目的に、各界多方面の方々からご賛同を賜り、昭和32年(1957年)の第1回開催以来旺文社が毎年実施しています。
「青少年の感性を伸ばし、創造力を高める」コンクールの教育的意義をご理解いただき、積極的なご応募を心からお待ち申し上げます。詳しくは学芸科学コンクールのページをご覧ください。

地球のために出来ることをし続けたい(2)

慶應義塾長賞 文芸分野Ⅱ 作文・小論文部門 金賞
東京都 東横学園中学校3年生(受賞当時) 岡部達美さん

「地球のために出来ることをし続けたい」…ストレートなメッセージのこもったタイトルのひとつの作文。そこに描かれているのは、中学3年生(当時)の女の子とその家族で取り組んでいるエコロジーに関する取り組み。

テーマを追求する奥深い目線と大人顔負けの文章力により、その作文で、旺文社主催の学芸科学コンクールの作文・小論文部門で金賞を受賞したのは、現在東京都立田柄高校1年生の岡部達美さん。(受賞作を書いたのは、中学3年生当時)
文章にかける想い、家族で取り組むエコロジーな生活、そしてこれからの夢について語って頂きました。全3回にわたり、お届けします。

第1回
インタビュー:「書く」ことのよろこび
作品紹介:第一章「地球環境を守る日」
第2回
インタビュー:家族と作りあげる、エコロジーな生活
作品紹介:第二章「チーム・マイナス六パーセント」
第3回
インタビュー:夢。書き続ける先にあるもの。
作品紹介:第三章 植樹活動

(取材:田中青佳)

受賞者インタビュー

第2回:家族と作りあげる、エコロジーな生活

■電気を一切使わないで過ごす「地球環境を守る日」

―受賞作品の第一章に書かれていたように、毎週火曜日を、家の電気を全て使わない日にしている岡部さんご一家。その日は、ランタンやロウソクで明かりを灯し、高校生のお兄さんも含め家族全員がひとつの部屋に集まり、環境のことや学校生活のことなどを話し合うのだとか。
電気を使わない日は、私が幼稚園の頃からやっています。その頃は「戦争の日」と呼んで、戦争中お墓で暮らした沖縄の祖母の体験を追体験するために始めました。「環境」について家族で取り組むようになった9年前から「地球環境を守る日」と名前を変えて、ずっと続けています。

■あざらしの「タマちゃん」は、異常なこと。

環境に意識が向いたきっかけは、私が小学生の時にテレビで騒がれた、多摩川に現れたあざらしの「タマちゃん」。みんなはカワイイと大騒ぎしていたけど、野生動物があんな場所に来るのは、普通のことではありません。地球環境が本当に変わってきていることを実感し恐くなりました。

■お米のとぎ汁を植木鉢に。「コレだ!」

エコロジーに関しては、身近にできることからやっています。たとえば、お米のとぎ汁は栄養があり過ぎて、海に流すと富栄養化し魚が死んでしまうけれど、植木鉢にあげればお花は喜びます。そういう小さなことを積み重ねることが大事だと思います。今では、お花も元気になって、ベランダにはアゲハ蝶やスズメが遊びにくるようになりました。

※富栄養化…海・湖沼・河川などの水域が、貧栄養状態から富栄養状態へと移行する現象のこと。

■ただ、植えるだけではダメ。植樹のこと

―受賞作の作文の中でもテーマの一つに挙がっていた、植樹活動。休みには地方へも出かけて、植樹活動を行っているという。
ただ植えるだけでは、樹は定着しません。その土地に元から生えている樹を植林しなくてはいけません。キレイだから…では、環境のためにならないのです。今生えている大きな樹は、10~20年後にはCO2を効果的に吸収出来なくなります。だからこそ、先を見越して、今、私たちが出来ることをするしかありません。それが、植樹と森づくりです。

■編集部から

環境について自分のできる限りの取り組みを続ける岡部さんと、そのご家族。岡部さんの話を聞いていると、「知る」ことの大切さを考えさせられます。環境の「現実」を知り、正しい「知識」をもってアクションを起こすこと。私たちの一人一人の行動が、地球の未来を、私たちの生活を決めていくのでしょう。

次回は、岡部さんの夢と、中学生の皆さんへのアドバイスをお届けします。


作品紹介

第二章 チーム・マイナス六パーセント

ここ数年、地球の温暖化が猛スピードで進み、豪雨・洪水・渇水・豪雪と、異常気象も頻発するようになりました。そして、『京都議定書』が発効。我が国は、温室効果ガスの排出量を減らさなければならなくなりました。政府も、『チーム・マイナス六パーセント』運動を提唱しました。我が家も、すぐ、メンバーとして登録し、温暖化対策を実行してきました。そして、翌年、同じ観点から進める、千代田区の『ちよだエコしぐさ』の三十箇所の推進ポイントの一つとなりました。さらに、その後、間断なく実行し、二年後、日本環境協会の認定する『エコ・ファミリー』に登録、毎日、三十項目の環境対策をし、二酸化炭素を減らそうと努力しています。

包装されていない野菜を選ぶ。ゴミの分別を徹底し、廃プラスチックをリサイクルする。二十六度だった冷房の設定を、環境省が勧める二十八度に設定。テレビは、見ない時は消す。温水洗浄便座のふたを閉める。お風呂の残り湯は洗濯に使う。家庭菜園に、お米のとぎ汁をまく等、全部で三十項目、実行しています。ひとり、一日、一・六キログラムの二酸化炭素を削減している計算になります。

その中でも、特に力を入れているのが、ゴミを出さない工夫です。

実は、『地球環境を守る日』以前の十二年前から、我が家で行ってきた、地球環境を守る活動のひとつなのです。最初は、利根川や荒川に行って、ゴミを拾う作業をしました。その時は、木の枝や枯れ草は許せても、ペットボトルやトレーは許せませんでした。
「自分勝手な人がいるんだ。僕たちが変えないといけない。」
二歳上の兄のことばです。

私たちは、生活の仕方を変えていかないといけないと気づきました。そこで、ゴミを減らすには、どうしたらよいか話し合いました。その結果出て来た案が、リサイクルの徹底と祖父の考えに基づいた生活の仕方の追求でした。祖父は、生前、兄が何かをねだると、決まって、こう話しました。
「ほしいものは、おじいさんも買ってあげたい。でも、本当に必要な物が出てきた時、お金がなかったらどうだろう。だから、ほしい物と必要な物を、しっかり区別することだ。」

私は、祖父の考えが、省資源に直結することを、後々知りました。それ以来、我が家では、ゴミが生活の基軸となりました。まず、余分なレジ袋を避けるため、マイ・バッグを心がけています。お店での包装は、ほとんどすべて断ります。そして、マーガリンの容器等、再利用出来る品物を購入するようにしています。

みな、家族で話し合い、実践してきたものです。そして、今、我が家の温暖化対策を、私たちは、学校の友だちに、親は、職場や近所に伝え、地球環境を守る仲間の輪を少しずつ広げているのです。

私には、大きな夢があります。
「ギネスブックに載るぐらい電気代が安い生活をしてみたい。できたら、それを大学生になって一人暮らしで自由になったらやってみたい。」

『我慢』から始まった取り組みです。しかし、日増しに、『楽しみ』になっています。




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