2009-12-15

学芸科学創造館へようこそ!

「創造」のことばの意味は、「新しいものをはじめてつくりだすこと」です。
この創造館では、旺文社主催「学芸科学コンクール」に寄せられた作品の中から、中・高校生の創造的な作品を紹介していきます。
パスナビ編集部では、みなさんの感性を伸ばし、創造力を高め、これからの未来をひらいてほしいと願っています。

◆「学芸科学コンクール」とは◆

内閣府・文部科学省・環境省後援「全国学芸科学コンクール」は、「全国の小・中・高校生の研究・アートおよび文芸の振興奨励と、青少年の個性の育成」を目的に、各界多方面の方々からご賛同を賜り、昭和32年(1957年)の第1回開催以来旺文社が毎年実施しています。
「青少年の感性を伸ばし、創造力を高める」コンクールの教育的意義をご理解いただき、積極的なご応募を心からお待ち申し上げます。詳しくは学芸科学コンクールのページをご覧ください。

地球のために出来ることをし続けたい(3)

慶應義塾長賞 文芸分野Ⅱ 作文・小論文部門 金賞
東京都 東横学園中学校3年生(受賞当時) 岡部達美さん

「地球のために出来ることをし続けたい」…ストレートなメッセージのこもったタイトルのひとつの作文。そこに描かれているのは、中学3年生(当時)の女の子とその家族で取り組んでいるエコロジーに関する取り組み。

テーマを追求する奥深い目線と大人顔負けの文章力により、その作文で、旺文社主催の学芸科学コンクールの作文・小論文部門で金賞を受賞したのは、現在東京都立田柄高校1年生の岡部達美さん。(受賞作を書いたのは、中学3年生当時)
文章にかける想い、家族で取り組むエコロジーな生活、そしてこれからの夢について語って頂きました。全3回にわたり、お届けします。

第1回
インタビュー:「書く」ことのよろこび
作品紹介:第一章「地球環境を守る日」
第2回
インタビュー:家族と作りあげる、エコロジーな生活
作品紹介:第二章「チーム・マイナス六パーセント」
第3回
インタビュー:夢。書き続ける先にあるもの。
作品紹介:第三章 植樹活動

(取材:田中青佳)

受賞者インタビュー

第3回:夢。書き続ける先にあるもの。

■「生きている図書館」を作りたい。

―お父様がスクラップした新聞の記事を読んで知った、ヨーロッパ発の新しい活動。それが、岡部さんの今の「夢」の一つ。
「生きている図書館」とは、犯罪者、薬物依存症だった人など日常では接しにくいと考えられがちな人たちを図書館に招いて、話を聞きたい人たちに貸し出すという新しい取り組みのことです。ヨーロッパで始まって世界各国に広がっています。日本では、まだ研究資料なども少ないようなのでこれから先、研究したいと思っています。

■いつか、本を出版したい。

小学生の頃から取り組んでいる「聞き書き(インタビュー)」をずっと続けて、いつか本を出版したいです。私が書きたいのは、一般の人が経験した、歴史の本には載らない本当にあったいろいろな思いの詰まった出来ごとや実際に体験した人が語ってくれる日常のこと。

また、有名な作家の先生にもお話を聞いてみたいです。
なかでもホラー作品で知られる大石圭先生には、「恐怖」という感情について聞いてみたいです。この感情を描くのが私には一番難しいことなので、それをどう意識して書いているのか? ぜひ伺いたいです。
所属している演劇部で、脚本の創作をしたこともあるけど、時間がかかってしまうばかりで、説得力がなかった。それより断然、本当にあったことの方が興味がわきます。「人」や「環境」をテーマにして、これからもずっと書き続けていきたいです。

■「やめる」という選択をする勇気も必要

―毎日の過ごし方、そして将来の夢まで、揺らぐことのない芯が通っている岡部さん。そんな岡部さんに、受験生の皆さんへのメッセージを頂きました。
勉強・勉強でストレスをためてしまう時、改善する方法が見つからない時には、思い切って「やめる」選択をすることも、時には大切だと思います。私自身も、勉強ばかりになってしまった中学生の頃より、作文を書く時間などの自由な時間を作れるようになった今の方が充実しています。
あとは、悩みや不満は一人で抱え込まないこと。家族や友達、周りの人と話したり、相談することが大切だと思います。

■編集部から

環境問題について語る真剣なまなざしから一転、夢や、これから先やりたいことについて生き生きと語ってくれた岡部さん。好奇心が旺盛な面と自分の決断力で、今までもそうだったように、これからも夢を叶えていくのだろうと感じさせてくれました。


作品紹介

第三章 植樹活動

中学一年の四月、私は、家の近くの千鳥が淵を歩いている時、一人の老人に会いました。桜の季節だったので、辺り一面、桜の花で、多くの人が上を見上げている中、その老人は、桜の根っこを悲しそうに見ていました。老人をまねて、私も、下を見てみると、その人の気持ちが少し分かりました。木の幹は、ぼろぼろで、根っこが、むき出しになっていたのです。 「あなたも気づきましたか。とうに限界を超えた桜ですよ。」
老人は、植木屋さんでした。毎年、桜を見に、千鳥が淵に訪れるとのこと。そして、来る度に、桜の状態が悪くなっていることが気になって仕方ないと、おっしゃいました。

私は、この時、近くに住みながら、桜の木の病状にも気づかなかった自分が、恥ずかしくなりました。また、自分には、桜の木の病気を治せないのが、悔しく思いました。私は、この事実を、多くの人に伝え、桜の木を、一刻も早く、回復させるすべを考えないといけないと思いました。

私は、家族と、桜の木について話し合いました。そして、意見としてまとめ、千代田区に届けることにしました。まとまった意見としては、第一に、桜の木の状態の調査を依頼する。第二に、桜の木の周りに、人の足を踏み入れないような対策を依頼するものでした。
千代田区は、協力を約束してくれました。

さらに、昨年、私は、阿蘇を訪れました。まさに、豊かな山が、そこにはありました。しかし、妙な物が眼前に飛び込んできました。早速、地元の片岡さんに尋ねました。
「ああ、白いのが松、灰色が杉だよ。ここんとこ、ひどくなってな。みんな、枯れているんだよ。」
私は、テレビで見た、ドイツの白くなった『黒い森』を思い出しました。そして、酸性雨の影響の激しさを知りました。

そして、始めたのが、森の管理です。私たち家族で、まず、千葉県いすみ市の祖父の里山を見に行きました。雑草まみれで、ここも、酸性雨で枯れている木が目立ちました。下草を刈りました。しかし、それ以上のやり方がわかりませんでした。いまは、専門家に教えていただいている兄の指示の下、家族で、迷いながら、間伐活動をしています。育ち過ぎた大木と、大きな雑草が、邪魔する中、少しずつ前進している状態です。しかし、いつか、しっかり、森の管理ができるようになると思っています。

地球環境の改善のため、いま、我が家で一番力を注いでいる、植樹。実は、私の家族は、三年前から、NPO法人 太陽の会と、NPO法人 地球こどもクラブのメンバーとして、山梨の富士河口湖町や東京の高尾山周辺で、植樹活動をしてきました。しかし、昨年からは、千葉県いすみ市の自分の家の山(里山)で、間伐の他、森の本格的な調査も始めました。
兄は、一足先に、NPO法人 共存の森ネットワークの人たちと、植樹・間伐活動をしています。森の経験が、少しずつ、自分のものになっているようです。一方、私は、今年から、千代田区の桜の調査と、公園の植物の調査を、始めました。そして、いま、問題のある桜や植物に対する対策案が、少しずつ浮かんで来ている状況です。いまは、それを、出来るだけ早く、千代田区に提出し、対策を始めていただこうと考えています。

ゴミ対策から始めた我が家の温暖化対策は、酸素を生み出す植樹・森づくりに至りました。




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