2016-08-02

【特別企画】 第6回 TEAP連絡協議会レポート
4技能入試の現状と未来~2016年度入試を終えて、これからどうなる~(1)


公益財団法人 日本英語検定協会は2016年6月7日(火)、早稲田大学にて「第6回TEAP連絡協議会」を開催した。

中高パスナビをご覧の方は「TEAP」を初めて耳にする方が多いかもしれない。TEAP(ティープ)とは、「Test of English for Academic Purposes」の略語で、「大学入試を変える」をコンセプトに、英語検定事業に50年以上の実績をもつ日本英語検定協会と、外国語教育、第二言語習得理論に知見をもつ上智大学とが5年の歳月をかけて共同開発した英語運用能力テストである。

「読む」「聞く」「書く」「話す」の4技能で構成され、「大学教育レベルにふさわしい英語力」を正確に判定するためのテストだ。初めて実施した2014年から年々、TEAPを一般入試や推薦入試で利用する大学が増えている。

全体イメージ

本協議会は「4技能入試の現状と未来~2016年度入試を終えて、これからどうなる」をテーマに、わが国の英語4技能入試の現状と展望や、大学入試の改善を進めてきた上智大学・立教大学・早稲田大学の取り組み状況の報告が共有された。


グローバル時代の到来により、近年は私立中学入試に「英語」を課す学校が増えている。中学受験・高校受験を検討中の保護者の中には、大学入試も視野に入れながら進学先を検討されている。わが子の将来を見据えて進学先を検討されている保護者の方に向けて、中高パスナビでは本協議会の概要をレポートする。


「英語4技能入試の現状と展望」
   文部科学省 国際教育課 主任学校教育官(国際教育担当) 齋藤 潔氏


文部科学省 国際教育課 主任学校教育官(国際教育担当) 齋藤潔氏

現行の高校学習指導要領の外国語科においては、情報や考えなどを的確に理解したり適切に伝えたりするコミュニケーション能力を養うことを目標としており、「聞く」「読む」「話す」「書く」の4技能の育成を目指している。しかし、学校の授業の実施割合は、「話す」・「書く」が中学2年生をピークに減少していることが民間企業の調査(2014年度)で判明した。


一方、大学側の考えは、『大学入試に4技能を測定すべき』が66%であるが、『独自で実施が可能』は11%という結果(※)であった。つまり、4技能は実施すべきだが独自で実施することが難しい状況が見えてきた。
(※)公益財団法人 日本英語検定協会「全国の主要国公私立大学の入試関係者100名に大学入試についての緊急調査」による

平成25年度大学入学者選抜において、資格・検定試験を活用している事例は35.8%にとどまっている。『英語教育の有り方に関する有識者会議(平成26年9月26日)』の「今後の英語教育の改善・実施方策」の報告書には、”入学者選抜における英語力の測定は、4技能のコミュニケーション能力が適切に評価されることが必要で、4技能を測定する資格・検定試験のさらなる活用が促進されるべき“とする提言があった。


このような背景があり、文部科学省は、4技能の評価及び入学者選抜の改善及び英語の資格・検定試験の活用の在り方について検討・協議を行うため、学校関係者、専門家、英語の資格・検定団体、経済団体等からなる「英語力評価及び入学者選抜における資格・検定試験の活用促進に関する連絡協議会」を平成26年11月に設置した。

主な活動内容は、英語の資格・検定試験及び活用促進に係る情報提供(英語4技能試験情報サイト)の運営、行動指針の策定、英語4技能の入学者選抜に関する調査・分析・検証をしている。


「2016年度入試概況および2017年度にむけての展望」
   伊呂原 隆氏(上智大学 理工学部教授/学事局入学センター長)


■ TEAP利用型入試のポイント

・学科別    =  英語  + 他2科目(マーク式)
・TEAP利用型= TEAP + 他2科目(記述導入)

従来の一般入試は、「英語+他2科目(マーク式)」の3科目を試験当日に受ける形式であったが、2015年と2016年度一般入試は、TEAPを事前に受けることで試験当日の英語試験が不要となる「TEAP利用型入試」を導入した上智大学。

「TEAP利用型入試」の場合、「他2科目」に対して、これまでマーク式だった試験に記述式を導入。文章理解力、論理的思考力を問い、総合的な学力到達度を測定するのが特徴だ。

2015年度は全学科に2技能(Reading/Listening)を、2016年には9つの学科で4技能を導入した。2017年度は、全学科で4技能を課す予定である。


■ 2016年志願状況と2017年度の展望

2016年度入試結果において、TEAP利用型入試の志願者が4,634人(前年比51%)となった。その理由は、4技能を導入した学科で大幅に減少したことが大きい。技能別の得点を課したことで、Reading力があってもListening力が弱いなど、技能別の点数が足りずに出願できなかった層があった可能性があった。

ReadingとListeningの合計点が高い学生が、SpeakingとWritingの合計点も高ければ2技能のままでも良いが、4技能の相関を調査したところ、極めて低い相関であったために4技能導入が必要と考えている。

今後は、在校生にTEAPスコアの追跡調査をして、入試から卒業までの英語力を把握する予定だ。例えば、入学直後のレベル分けや、1年次が終了する頃などに実施を検討している。さらに、英語で学ぶCLILなどカリキュラム改革を継続し、留学制度や海外でのインターンシップを拡充する。


「TEAP利用型入試は、単に英語力が高い学生が欲しいわけではなく、各学科が求めている英語力を満たす生徒をとりたいという目的で採用している。インプットではなくアウトプット型の能力を持った生徒を獲得することで、“発信型グローバル人材”を育成したい」と強い眼差しで伊呂原氏は語った。


「立教大学における4技能入試 ~導入・結果・展望~」
   松本 茂氏(立教大学 経営学部国際経営学科教授)


松本茂先生

■ 4技能入試導入の背景と目的

立教大学は、一般入試に「グローバル方式」を平成28年2月入試に導入。一般入試で4技能のみ、全年学部全学科に採用テスト・基準を統一して導入したのは全国初の試みだった。「全学部日程入試(全ての学部が同日に入試を実施する)」にて「出願資格方式」を採用している。

「出願資格方式」にした理由として、“一点刻みで合否を決める入学者選抜そのものを変革することの第一歩”だと松本氏は話す。海外の大学を見ると、英語は出願資格としてIELTSやTOEFLを設定しているのが国際基準であり、立教大学も同じ方式にしたのだ。

そして、2015年2月の「グローバル方式」の結果、募集人員は全学部で131名、志願倍率は約3倍、実質倍率は約2倍で、このうち8割の受験生がTEAPを選択する結果となった。

4技能入試導入の目的は、第一に「グローバル人材の育成」。交換留学や海外インターンシップを体験することや、英語での専門科目の授業を履修するためには、大学入学後に4技能の向上を図っても間に合わない。また、高校において4技能統合型の授業を増やしてほしいという願いがある。すでに「高校学習指導要領」に則って4技能統合型の英語の授業をされている高校を支援し、高大連携に寄与する目的もある。


■ 立教大学SGU構想と今後の展望

「立教大学SGU(スーパーグローバル大学)構想」の達成目標に、2019年までに入学定員の50%を4技能入試で入学してもらうことを約束している。そのために、グローバル方式に加えて、自由選抜入試、国際コース選抜入試、指定校推薦、関係高推薦などでの英語資格・検定試験の活用をさらに増やしていく。さらに、2018年度からは秋季入試において自校作成の英語試験を廃止し、外部の資格・検定試験を全面的に活用する。


松本氏は、「4技能入試を活用する目的は受験生を増やすことではない。日本の英語教育を改善していきたいという願いで立教大学は動いている」と熱く語られた。


大学が考える英語4技能化と入試改革
   -早稲田大学文化構想学部・文学部の場合―
   安藤 文人氏(早稲田大学 文学学術院教授)


安藤文人先生

■ 4技能化への道、導入背景

早稲田大学では、全学部共通の英語カリキュラムは存在せず、各学部独自のカリキュラムとなっているのが現状である。ここでは文化構想学部・文学部の状況についてのみ述べる。

4技能入試導入の背景には、2004年度の学部英語カリキュラムの全面的な改編がある。それまでの技能別科目を4技能統合型の目的別科目にし、教授言語はすべて英語にした。2007年度に学部改編を行い、英語入試問題も全面的に改めた。たとえば指示文を含めてすべて英語にし、和訳・和訳的問題を排除、英文による英文要約問題を導入して2技能を測る試験に変えた。

今、早稲田大学全体の将来計画である「Waseda Vision 150」のひとつに、『2032年までに外国語による授業の割合を50パーセントにする』という目標がある。また文化構想学部・文学部においては、あらたに「英語による授業で単位を取得できること」を目標にすえた。

一方、高校の新学習指導要領の実施により、2016年度に入学した学生の多くはすでに4技能で学んできている。それらの学生に対して、現在の入試は対応できていなかった。全学で対応すべきだが、まずは対応できる箇所からやるべきだと考え、文化構想学部・文学部が動き、TEAPが学習指導要領に準拠したテストであることなども良い材料となって、2017年度に学内ではじめて導入することとなった。


■ 4技能導入の趣旨

4技能試験導入の趣旨は、高校での学習内容に則った形で、一般入試の英語では測りきれない4技能について、バランスの取れた力を有する学生を獲得することにある。次に、英語で発信することに強い意欲と適性を有した学生を獲得し、ディプロマ・ポリシーにうたう人材育成を図ることにある。

大学側としては、すでに4技能に優れた学生がほしいというのは当然としてあるが、それ以上に、4技能にわたって言語を使いたいという気持ちのある学生を求めている。


※4技能入試の現状と未来~2016年度入試を終えて、これからどうなる~(2)では、全登壇者のパネルディスカッションの模様をお届けします。





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