最近の高校入試の傾向として、一般入試、特に国語の試験問題での作文の出題がとても増えています(※)。また、多くの学校の推薦入試で作文が課題とされ、公立高校の推薦入試では小論文が出題されることもあります。
旺文社では、小論文・作文を出題傾向に沿って効率的に学習できる『高校入試小論文・作文対策』を2009年11月12日に刊行しました。
この本は、入試作文の対策がもっとも効率よくできるように、小論文と作文の対策を一冊にまとめてあります。「ワークに書き込む」⇒「作文を組み立てる」という手順で、作文がスイスイ書けるようになります。
なんと!今回は特別に、入試本番前の受験生にお役に立つ内容を本書から厳選してお届けします!
★第1回目「入試作文・小論文ってどんなもの?」、
第2回目「作文で得点するコツは何だろう?」、
第4回目「作文と小論文はどう違う?(2)」、
第5回目「作文を書くときの基本」もチェック!
小学校のころから何度となく書いてきた作文や感想文。入試の小論文を、「作文とほとんど同じもの」と考えて、同じような書きかたをしている人もいる。
だが、もともと小論文は作文や感想文とはまったく違うものだ。いちばんの違いは、作文は、読む人の「心」に訴えるものであるが、小論文は、読む人の「頭」に訴えるものだということ。
作文は、人の心に訴えるように自分の気持ちや体験を素直に書けばよい。
しかし、小論文に必要なのは、自分の気持ちや感情ではなく、他人を説得するための「論理的な意見」だ。
ここでは作文と小論文の違いについて、短い文章を基に比べてみよう。
【作文】動物園に行った。たくさんの動物を見ることができて楽しかった。
【小論文】動物園は、多くの貴重な動物を保護するという役割を果たしている。
→ 作文は自分の気持ちや感情を示すもの。「楽しかった」ということはわかるし、うまく書けばその感動を伝えることもできるが、それに対する意見や、そこから始まる議論はない。
→ 小論文は、「その通りだ」という賛成意見や、「果たしてそうだろうか」という疑問、「それは違う」という反対意見が生まれてくる。
これが作文と小論文の大きな違いだ。
【作文】動物園は貴重な動物を守ってくれていると知ってうれしく思う。でも動物が狭い園内に閉じ込められるのはかわいそうだ。
【小論文】現代の世界では、貴重な動物を絶滅から救うことが必要だ。だから、動物園が動物を保護する役割を果たすことに賛成だ。
→ 作文ではやはり、「うれしい」「かわいそうだ」という個人的な感情が述べられている。違う感想を持つ人はいるかもしれないが、それだけでは「感じ方の違い」というだけで、議論には発展しない。
→ 小論文では、「なるほど、賛成だ」、あるいは「私は反対だ」という意見が生まれてくる。これは、「感じ方の違い」ではなく、「何が正しいか」「私たちはどうすべきか」など、意見や考え方の違いによるものだ。
●ここがポイント
小論文では、述べられていることに対して、「賛成だ」あるいは「反対だ」という意見が生まれてくる。
もうひとつ、ここでは自動車をテーマにした文章を比べてみよう。
【作文】 自動車は家から目的地まで時間にしばられずに行けて便利だ。だから、私は自動車が好きだ。
【小論文】 自動車は人間の行動範囲を広げ、社会を大きく変えた。
→ 作文では「好きだ」という自分の感情を言うために自動車を説明している。
→ 小論文では、自分の意見を言うために自動車を説明し、客観的で感情に左右されない文になっている。これに続けて、自動車についての自分の意見を述べていけばよい。
ワーク形式になっており、書き込みながら自分だけの対策本ができる!
『高校入試 小論文・作文対策』の実際のページを紹介します!
●【文章力・発想力を診断する】
得意分野・苦手分野を知って効率よく学習しよう!
●【ワーク例…自分分析ワーク】
ひとつひとつの書き込み欄を埋めていこう。自然に自分自身や社会について考え、整理することができます。
●【テーマ演習例…志望動機】
「評価ポイント」や作文例、「見直しポイント」を読んで、どんな作文が評価されるかをチェックしよう。