11月17日の「健康生活アドバイス」で、インフルエンザの対処法と家庭でできる予防法についてお伝えしました。
今回は効果的な予防法であるワクチン接種についてのお話しをします。
歴史をさかのぼること18世紀のこと、人々を苦しめる天然痘ウイルスが流行していました。
その時期に、エドワード・ジェンナー医師が、乳搾りに携わり牛痘というウイルスに感染したことのある人は天然痘にはかからないことを発見し、牛痘を天然痘の安全なワクチンとして使用したことが始まりです。
牛痘を感染することにより、身体の中で同じタイプである天然痘に対する抗体が作られて、天然痘が身体に入ってくるのを防いでいるからだと考えられます。
この考え方がまさに免疫の考え方、ワクチンの考え方の基礎となっているのです。
インフルエンザウイルスに対しても、弱毒化してインフルエンザに対する抗体は作るものの、身体を苦しめる程の影響がないものをワクチンとして使用しています。
身体の中に、外から初めて触れるもの(異物)が侵入してくると免疫細胞が働きだし、その異物を排除しようと試みます。
その排除するための手段のひとつとして、「抗体」を作るという手段があります。
一度抗体ができると、次に同じものが侵入してきたときには、抗体によってすぐに排除に働くことができます。
(このとき、抗体によって免疫系が働きすぎてしまったり、働かなくても良いものに対して働いてしまうと、アナフィラキシーショックや花粉症といった我々を困らす現象となってしまうのですが、それはまた別の回でお話しします。)
では、インフルエンザを例にして考えてみましょう。
インフルエンザウイルスに対して、抗体を作るけれど身体に対して安全性の高いものをワクチンとして用います。
これを体内に投与すると、身体の中ではインフルエンザウイルスに対する抗体を作り始めます。
ここで作られた抗体は、実際にインフルエンザウイルスが身体の中に侵入してきたときに威力を発揮してウイルスを排除してくれるのです。
そのため、ウイルスによる発熱や倦怠感などの症状が出ないまま、ウイルスを撃退することができるのです。
抗体ができるまで数週間かかるので、インフルエンザの流行よりも1ヶ月程早く接種することが望ましいです。
また、一言にインフルエンザと言っても、タイプの違うインフルエンザが流行った場合には効果がありません。
昨年流行した新型インフルエンザがその例です。“新型”なのでワクチンもなく、たくさんニュースになったことは記憶に新しいですね。
医学博士(免疫アレルギー学)で免疫料理研究家のToshiが免疫学の基礎をレクチャーします。さらに、家族が喜ぶ「美味しく」、「楽しく」、「健康に」をモットーにした、免疫力を高め、受験勉強や入試に打ち勝つレシピを掲載します。受験生のご家族必読!毎月1回更新予定です。