毎年春になるとつらい花粉症の症状に悩まされます。
以前にも書きましたが、私が免疫学の勉強をするきっかけとなったのは、このひどい花粉症があったからです。
詳細は⇒免疫への興味、勉強を始めたきっかけは…
特に今年はひどい症状が出ています。
現在は抗アレルギー薬と、ロイコトリエン拮抗薬という、アレルギー症状を引き起こす物質を抑える薬を併用して何とか毎日生活しています。
実は今年、花粉症に対して画期的な治療法が保険適用となります。
「舌下免疫療法」や「アレルゲン免疫療法」などと呼ばれる治療法です。
現在私が使っている薬は「アレルギー症状を引き起こす物質を抑える」対症療法ですが、舌下免疫療法はそもそものアレルギー反応を軽減する効果を期待されています。
舌下免疫療法では、花粉と同様のアレルギー反応を少量の抗原によって故意に引き起こさせることによって、花粉が飛散する時期であっても、外から入ってくる花粉に対するアレルギー反応が軽減されるというメカニズムを利用しています。
ワクチンと同じように考えていただくと分かりやすいかもしれません。
同じ抗原によって弱い免疫反応を常に誘導しておくことにより、大量の抗原が入ってきたときにも、身体が驚かずに適切に処理できるようになるのです。
舌下免疫療法の薬は、毎日口に含むことにより、緩やかに抗原が吸収されます。
実際にアレルギー反応を引き起こす抗原を体内に入れるので、副作用としては急激なアレルギー反応、すなわちアナフィラキシーショックの可能性がありますが、舌下投与による緩やかな吸収によって、その副作用のリスクを低減すると言われています。
このような花粉症の根本治療の研究はいまも進められており、花粉抗原遺伝子を組み込んだ米を生まれたときから食べることで花粉に対する急激なアレルギー反応が起こらないようにする研究などもあります。
アレルギーの根本治療はアレルギーの研究者にとっての夢であり、その一方で、アレルギーは身体を守る生体防御反応でもあることから、治療が難しいとされてきました。
今回舌下免疫療法が保険適用されたことで、アレルギーの根本治療にまた1歩近づいたように思えます。
保険適用後にたくさん使用されて、その効果がどれほどなのかが明らかになるのが、とても楽しみですね。
医学博士(免疫アレルギー学)で免疫料理研究家のToshiが免疫学の基礎をレクチャーします。さらに、家族が喜ぶ「美味しく」、「楽しく」、「健康に」をモットーにした、免疫力を高め、受験勉強や入試に打ち勝つレシピを掲載します。受験生のご家族必読!毎月1回更新予定です。