「風を起こす学校」では、教育現場を、強く、明るくしている学校の姿をお届けします。他の教育現場でも生かせるような考え方や取組みを、発信していきます。
西ノ岡中学校は、教職員・保護者・地域の学校全体が力を合わせて、一丸となって行動することで道を切り拓いてきました。 学校全体で、『子どもたちのために』をつねに念頭に置かれてきたそうです。
これから8回の連載では、西ノ岡中学校の代表として盛永校長先生に、具体的な取組内容や取組への視点についてお話を伺います。
【第1回】 盛永先生 着任
PTA会長 安田かおりさん
――最初に、西ノ岡中学校のPTA会長である安田かおりさんに、保護者の視点から1年前の学校のようすをお聞きしました。
私は、昨年度からPTA会長を務めさせていただいています。
子どもは現在3年生ですが、2年前の学校は、大変な状況でした。学校に訪れるたびに、窓ガラスが割れる音が校内に響き渡っていたように思います。廊下や床に、ものが散らばっていることもありました。授業中でも、一部の生徒が立ち歩いていました。
そんなところに盛永先生が着任されました。一番はじめにご挨拶に伺ったときに、先生はずっと「子どもたち」の話をされていたことがとても印象的でした。
「挨拶のできる子どもたちで気持ちがいい」、「学力を上げたい」、「何事にも一生懸命になってほしい」など、先生の子どもたちへの温かな眼差しと教育に対する想いがとても明確でした。
私たち保護者は、今までとは違うことをしてくれそうだ、という期待を抱き始めました。
実際、学校は大きく変化していきました。
盛永俊弘校長先生
――先ほど、PTA会長さんから、1年間で大きな変化があったとお聞きしました。
盛永先生は、着任された1年前、どのような学校づくりを構想されたのでしょうか?
赴任する学校名の内示を受けたのは、平成21年3月でした。当時、「生徒指導上、大変厳しい」といわれていた学校でした。
私にとっては、地域を全く知らない、初めて勤務する市でした。また、数年間、学校現場を離れていたこともあり、学校内外の情報や資源も把握できていませんでした。ある意味、全く白紙のスタートでした。
しかし、私はこれまでも、“子どもたちを座標軸”に実践すれば、必ず道は拓けるとポジティブに考えてきました。
私は、“過去は変えることができないが、未来は変えることができる”、“風は走って起こせ”というのが信条で、いいと思ったらとにかくやってみよう、何かあれば走りながら軌道修正すればよいと考えています。
着任した4月1日の早朝、日付のない“辞職願”を作成し、校長室の机の引き出しに入れたことが私の最初の仕事でした。(笑)
絶対に逃げない、何か問題が起きたときはいつでも全て責任をとる覚悟と決意でのスタートだったと思います。
~第1回目 キーワード ~
“子どもたちを座標軸”に実践すれば、必ず道は拓ける
過去は変えることができないが、未来は変えることができる
盛永俊弘-京都府向日市立西ノ岡中学校校長。学校心理士。京都府乙訓教育局人事主事、同総括指導主事、文部科学省・国立教育政策研究所教育課程研究センター情報統計官を経て、2009年4月より現職。山森光陽・荘島宏二郎編『学力-いま、そしてこれから』(分担執筆)。