風を起こす学校

2010-11-04西ノ岡中学校 盛永俊弘校長

【第2回】マネジメントで大切なのは“スピード”


―校長として着任なさるまでの2週間で、東京と京都を何度か行き来なさったとお聞きしましたが、その目的は何だったのでしょうか。


3月の内示後すぐに、赴任校の状況をリサーチしました。そこで、特に生徒指導が困難と想定された新3年生のクラスサイズについて「京都式少人数教育」(*1)の「少人数学級」を適用することが最適ではないかと考えたのです。


ですので、4月1日までに当時勤務していた東京と京都を2往復し、京都の教育委員会と協議しました。目的は、新3年生を「40人×3学級」から「30人×4学級」にするためです。

 

また、このタイミングで学校の仕組みを変えることは、「何か変化するのではないか」という職員の新年度への期待を後押しするにも有効に作用するはずだと考えていました。


学級を増やしたことで、教員の授業持ち時間は増えました。時間数で見ると、負担が増えるように見えるかもしれませんが、この方策の検証のために実施したアンケート調査では、生徒指導や学級経営面での改善と併せて、学習指導上でも大きな効果があったとの回答を得ました。実際、新3年生は全体として落ち着きを取り戻し、授業への前向きの姿勢がみられるようになりました。


意識の改革は、かけ声だけでは進みません。何らかのシステムの変更(“しかけ”)が必要だと考えました。


クラスサイズを変更するという判断は、結果的に、4月からの学校改善を図る上で、重要なターニングポイントの一つになりました。

 

*1 京都府では、「京都式少人数教育」を推進しています。これは、小学校3年生から中学校3年生まで、少人数授業、ティームティーチング、少人数学級などの指導方法・指導体制を、市町村教育委員会が学校や子どもの状況に応じて柔軟に選択して実施できる方式です。

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本来、4月当初に完成するはずの学校経営計画が、1ヶ月遅れの5月になったそうですね。それはなぜでしょうか。


一般的に、全国の学校は、毎年4月に学校経営計画を作成し、その目標を実現するためのスタートを切ります。


赴任1年目の校長の多くは、「とりあえず、前年度の終わりに準備された目標(学校経営計画)で1年間ようすを見て、次年度は新しい目標を策定しよう」と考えることが多いように思います。


しかし私は、そうした前例を踏襲しませんでした。なぜなら、子どもたちは1年ごとに卒業していくのです。新3年生は、あと1年間で卒業します。1年1年が勝負、待ったなしです。私は、子どもたちのために、1年で必ず成果を出すことを心に決めて臨みました。

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また、厳しい状況を打破し、組織力(チーム力)、同僚性を高めるためには、ビジョンの共有化・方向の一致が欠かせません。


そこで、前年度末に考えられていた学校経営計画をあらためて見直しました。年度当初の忙しい時期でしたが、全教職員に学校内外の環境を分析し、優先課題を焦点化するためのアンケートを実施し、学校課題を整理しました。その上で、職員一人ひとりと直接、面談を重ねていきました。


時間はかかりましたが、新たな学校づくりへの当事者意識、参画意識を高める上でも、意味があったと考えています。方向性が明確になれば、新たな挑戦となる具体策も整理され、職員のモチベーションも上がります。


学校経営計画は、5月当初の職員会議で決定しました。

 

 

変化を起こすには、スピードとタイミングが必要です。

1ヶ月遅れに見えるかもしれませんが、ある意味、1年間早めたともいえます。


~第2回目 キーワード ~

変化を起こすには、スピードとタイミングが重要。
厳しい状況を打破し、組織力、同僚性を高めるためには、ビジョンの共有化・方向の一致が欠かせない。


次回は11月11日更新予定



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プロフィール

盛永俊弘-京都府向日市立西ノ岡中学校校長。学校心理士。京都府乙訓教育局人事主事、同総括指導主事、文部科学省・国立教育政策研究所教育課程研究センター情報統計官を経て、2009年4月より現職。山森光陽・荘島宏二郎編『学力-いま、そしてこれから』(分担執筆)。


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