風を起こす学校

2010-12-02西ノ岡中学校 盛永俊弘校長

【第5回】 生徒指導は、未然防止の取組を基本に

―― 徐々に学校が落ち着いて教育活動を展開できるようになったとお聞きしましたが、どのような方策で打開されていったのですか?

生徒指導の視点は、対症療法的な事後対応ではなく、未然防止の取組を重視しました。つまり、問題事象のみに視点をあてた指導では現在の状況を改善することができず、モグラたたき状態に陥ってしまいます。根本的には、問題が起きにくい集団(学校風土)をつくるという予防的な考え方へシフトさせたいと考えたのです。


そのために、先ずは「わかる授業」を追究しようとしました。前回お話ししましたように、「わかる授業」は、不登校や問題行動を起こす可能性のあるすべての生徒への予防的・教育的援助にもなり、生徒指導の機能である自己決定、自己存在感、共感的な人間関係という3つの内容の具体化と重なるからです。


また、 問題事象はすべて人間関係(関係性)の中で生じます。ですから、これまで私たちが大切にしてきた特別活動(学級活動、さまざまな行事、生徒会活動)や部活動などの重要性をあらためて見直し、豊かでよりよい人間関係、集団の教育力を再構築したいと考えました。しかも、このことは、学力の向上、社会性の育成にも大きく関係するのです。

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しかし、それでも問題事象は起こります。その時は、迅速な初期対応に全力を注ぎました。その際、構造的理解や解決志向的なアプローチの重視、学年を前向きな集団に高めるための「紙上討論」(※第6回目で紹介)の実施、また、発達障がいの生徒の二次的障害を防止するために、先生方が不適応状態や問題行動への理解を深めるなど、多面的・複眼的な視点で対応していこうと考えました。
“構造的理解”を大切にする指導とは、事象を起こした生徒の個別指導にとどまらず、その事象を容認・促進する集団構造にメスを入れて指導を行うことです。


また、不登校生徒への対応も、「事後的な対応の充実」(教育相談部・養護教諭のコーディネートによる不登校生徒へのチーム支援など)と「未然防止の対策」(新たに不登校にさせない)を明確に区別して取り組もうとしました。
なお、取組が形骸化したり、職員が疲弊しないように、どんな取組も短期間の“期間限定”の取組として方針化しました。

 

特に、昨年当初は、子どもたちの成長を信じ、アカンことはアカンと本気で対峙しようと呼びかけました



―― お話の中ででてきた、解決志向的なアプローチの考え方を、少し説明してもらえますか?

解決志向的なアプローチとは、問題の原因やその分析に焦点をあてるのではなく、現状を改善する方向へ焦点をあて、早期解決を目的とした考え方です。「解決」について知る方が、問題と原因を把握するよりも有用だと考えるのです。また、小さな変化は、大きな変化を生み出すと考えます。そして、現在のやり方でうまくいっているのならそのまま続けるしかし、これまでのやり方で改善されないのなら、思い切って、そのやり方をやめて何か違う行動を起こすことを重視します。


現状が変わらない場合は、自分たちの努力不足だと考えるのではなく、対応策や方針を見直すことも大切なのではないでしょうか。あえていうなら、生徒指導に“正解”はありませんから、いろんなことを試してみる柔軟さも必要だと思います。

 

~第5回目 キーワード ~

・問題が起きにくい集団をつくるという予防的な考え方で、未然防止の取り組みを心がける。
・これまでのやり方で改善されなければ、方針を見直し、違う行動を起こすことも大切。
迅速かつ柔軟な対応策で、早期解決に力を注ぐ。




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プロフィール

盛永俊弘-京都府向日市立西ノ岡中学校校長。学校心理士。京都府乙訓教育局人事主事、同総括指導主事、文部科学省・国立教育政策研究所教育課程研究センター情報統計官を経て、2009年4月より現職。山森光陽・荘島宏二郎編『学力-いま、そしてこれから』(分担執筆)。


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