風を起こす学校

2010-12-09西ノ岡中学校 盛永俊弘校長

【第6回】 生徒の成長を信じて、本気で対峙!

―― 未然防止の視点で取り組まれた効果はどのように表れていますか。


全教職員が本当に熱心に、そして、粘り強く対応してくれています。たとえば、生徒指導部と教育相談部の連携によるタイムリーな方針の提案、教育相談週間(6月と11月)の実施、遅刻・早退・欠席状況や不定愁訴(※)等による保健室来室状況の共通理解と迅速な対応策、授業参観週間の設定など、未然防止の視点での取組を進展させてきました。また、今年度は、小中連携の取組や、自己肯定感・自己有用感を培う視点での取組を重視してきました。


その結果、不登校や問題行動の発生件数などは、大きく減少してきました。未然防止の取組は成果を実感しにくく、継続しにくいと言われていますが、今後も、客観的データに基づいた未然防止・予防教育的な生徒指導を大切にしていきたいと考えています。

 

※不定愁訴… 「頭が重い」、「イライラする」、「疲労感が取れない」、「よく眠れない」などの、何となく体調が悪いという自覚症状を訴えるが、検査をしても原因となる病気が見つからない状態を指す。

 

―― 第5回目で、「“アカンことはアカン”と本気で対峙しよう」といわれてましたが、その点をもう少し説明していただけますか。


そうですね。生徒への対応で、少し気になるところがありました。それは、“優しい教員”が多い、ということです。確かに、生徒を共感的に理解し受容する優しさ、温かさは大切です。しかし、本当の優しさとは、厳しさと裏表だと思うのです。厳しさとは決して切り捨てることではありません。いけないことはいけないと厳しく指導し要求することと、問題の奥に潜んでいる痛みや苦悩を読みとり励ます優しさは、メルの裏表でもあります。私たち一人一人の中で深いところで一体化していなければ、生徒の心に響く指導は難しいのです。

 

厳しさも優しさも、深い生徒理解と成長への信頼から生まれてきます。生徒の成長を信じ、本気で対峙する。厳しさと優しさを統合しながら指導する。そのために、今、本校で特に必要なのは、“アカンことはアカン”と指導することだ、と考えたのです。


学校現場では、こうした視点を、これまでも「壁として立つ」などと表現して実践してきました。ある心理学者が「壁は、生徒を厳しくしめつけるということではない。壁はがっちりと立っていて、それにあたってくるものをはね返すが、自ら動いて他をしめつけたりはしない。・・・壁がぐらつくと、生徒の不安が増大する。」と言っていましたが、私も同感です。

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―― また、前回「紙上討論」という方法が出てきましたが、どんな方法でしょうか?


“紙上討論”というのは、私が学級担任のときに実践していた方法です。あるテーマ(例えば、授業の状況をどう思うか、掃除の状況をどうしたら改善できるか、など)についての意見を、小さな紙片に短時間で全員に書いてもらいます。紙上では匿名で発表しますこの方法の“ミソ”は、その「1回目の意見」を読んでからの2回目の意見、場合によっては2回目の意見を読んでからの3回目の意見というように交流・思考を深めていくのです。

 

人間関係に気を遣い、自分の意見をなかなか表明しない思春期の子どもたちも、アンケートなどの紙上では、本音を語ってくれます。教員は、“やんちゃな生徒”の声や行動を着目しがちですが、普段は声を出さないけれど、当たり前のことを真面目に考え行動している多くの生徒の声が紙上に展開されるので、集団の質や雰囲気(ムード)を変化させることができます。実際、本校で厳しい状況であった学年が、この“紙上討論”で、学級や学年の前向き“見方・考え方” を作り出し、学年状況を改善した要因の一つになりました。

 

問題を起こすのは子どもたちですが、問題を解決する力をもっているのも子どもたち自身なのです。


~第6回目 キーワード ~

・本当の優しさとは、厳しさと裏表である。厳しさと優しさを統合しながら指導する。
・生徒の成長を信じ、「アカンことはアカン」と本気で対峙する。




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プロフィール

盛永俊弘-京都府向日市立西ノ岡中学校校長。学校心理士。京都府乙訓教育局人事主事、同総括指導主事、文部科学省・国立教育政策研究所教育課程研究センター情報統計官を経て、2009年4月より現職。山森光陽・荘島宏二郎編『学力-いま、そしてこれから』(分担執筆)。


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