風を起こす学校

2010-12-24西ノ岡中学校 盛永俊弘校長

【第8回】 学校デザインの「進化」と「深化」へ

―― 今年の秋だけでも、京都新聞で、貴校の取組がいくつか紹介されていましたが、内容を教えていただけますか。

 

9月に、「ボトルキャップで途上国にワクチンを、向日市の中学校」という記事が掲載されました。生徒会が、社会貢献活動の一環として、不要になったペットボトルのキャップを集めている取組です。税制上の優遇措置が受けられる認定NPO法人を通して途上国にワクチンを送ります。学校だけでなく、地域を巻き込んでの取組が注目されました。現在、生徒たちが発送準備をしてくれていますが、一人ひとりの思いは、今日まで段ボール箱で20箱近くに積み重なりました。

 

また、10月には、「中学新制服、児童が投票」、そして、「新制服デザイン決まる」という記事が掲載されました。来春、開校以来初めて制服を変更するのですが、そのデザイン選定に際して、本校の教職員・PTA・生徒会は当然のこと、入学する校区内3つの小学校の児童や保護者にも投票の機会を設定した取組です。制服決定に際して、小学生の意見を聞くことは前例がないとのことで、大きな反響があり、新聞で取り上げられました。

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―― こうした様々な取組を進めていく上でも、組織力や教職員のモチベーションを高めることが重要だと思いますが、どんなことを意識されているのですか?

 

組織力を高めるためには、「目標への統合、コミュニケーション、協働の体制」が必要です。また、組織心理学によると、組織を元気にし、教職員のやる気・モチベーションを高めるためには、「有能性・自律性・関係性(*)」の3つの欲求を満たすことが大切だといわれています。

 

学校をよくするためにも、“従業員満足”という視点は極めて重要です。教職員が自分たちが勤務する学校を誇りに思えるように、引き続き取組を進めて行きたいと思います。幸い、校務員さんを含め教職員が、より良い学校づくりに向かって熱心に仕事をしており、感謝の気持ちでいっぱいです。

 

*有能性・自律性・関係性・・・自分が成果を上げていると感じられる「有能性」、意思決定の場に参加していると感じる「自律性」、そして集団やリーダーと友好的でありたいと思う「関係性」が満たされるとメンバーの行動は自発的になる。

 

――新しい風を起こし、学校を変えていこうと取り組まれている方々に、メッセージをお願いします。

 

“危は機”(ピンチはチャンス)です。学校秩序の回復を最大の目的にすると、守りの実践に陥る可能性がありました。“マイナスをゼロ”にする発想ではなく、未来志向的に“マイナスをプラス”に転化させる発想で、教職員が一丸となって実践してきたことが、上昇スパイラルへの一歩に繋がったようにも思います。


また、私は、「問題解決のための手がかりは必ず対象の中にある」、「的確な時代認識とビジョンが優先課題を明確にする」という見方を大切にしてきました。つまり、仮に今ある“資源”が不十分に見えたとしても、これまでの前例・常識にとらわれない新たな視点で対象を整理し直せば、解決に向けての方向が明確になると考えてきました。


社会の急激な変化、現在の経済不況下の中で、厳しい家庭が増えているのは確かです。特に都市部では、“フラッグシップ・スクール(旗艦校)”は別として、社会の縮図としての公立学校の困難さが増しているのも事実だと思います。
しかし、多様な子どもたちを抱える地域の学校としての「公立」の良さと難しさ(強みと弱み)は、表裏の関係だと思います。先日の土曜日、地域で「クリーン作戦」がありました。本校の約1/3の生徒がボランティアで参加してくれました。その光景を、地域の代表の方が、「中学生が元気で清々しいと、町全体がきれいで元気になる」と語ってくださいました。学校が保護者や地域と一体となれるのは公立の良さであり強みです。チャンスはつねに目の前にあるのです。


“学びは子どもの人権の中核であり、希望の源泉”といわれます。今後も、私たちは、“子どもたちを座標軸”にした学校づくりのデザインを進化・深化させ、教職員・生徒・保護者の協働による学校づくりに挑戦していきたいと思います。

 

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~第8回目 キーワード ~

・組織力を高めるためには 「目標への統合、コミュニケーション、協働の体制」 が必要である。
・前例や常識にとらわれない新たな視点で対象を整理し直せば、解決に向けての方向が明確になる。
・“危は機”、ピンチはチャンスである。マイナスをゼロにする発想ではなく、未来志向的にマイナスをプラスに転化させる発想を。




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プロフィール

盛永俊弘-京都府向日市立西ノ岡中学校校長。学校心理士。京都府乙訓教育局人事主事、同総括指導主事、文部科学省・国立教育政策研究所教育課程研究センター情報統計官を経て、2009年4月より現職。山森光陽・荘島宏二郎編『学力-いま、そしてこれから』(分担執筆)。


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